相続人3人が遺産わけで揉めて「遺産分割調停」へ…それぞれ愛知県、大阪府、福岡県に住んでいる場合、どこの裁判所に申し立てる?【弁護士が解説】

相続人3人が遺産わけで揉めて「遺産分割調停」へ…それぞれ愛知県、大阪府、福岡県に住んでいる場合、どこの裁判所に申し立てる?【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人間での遺産分割協議がまとまらない場合は、遺産分割調停を申し立てることとなります。では、遺産分割調停の管轄は、どこにある裁判所なのでしょうか? また、管轄の裁判所が遠方であり出向くことが難しい場合は、どのように対応すればよいのでしょうか? 本記事では、遺産分割調停の管轄について、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

管轄の裁判所が遠方の場合の対応

遺産分割調停の管轄裁判所が遠方である場合、体調や状況などによっては出向くことが難しい場合もあるでしょう。その際は、どのように対応すればよいのでしょうか? ここでは、主な対処方法を2つ紹介します。

 

テレビ会議システムを活用する

遺産分割調停の管轄裁判所が遠方である場合は、テレビ会議システムを使うことで裁判所まで出向くことなく調停に参加できる可能性があります。2018年(平成30年)4月から、全国のほぼすべての裁判所でテレビ会議システムの活用が可能となりました※1。テレビ会議システムとは、最寄りの裁判所と管轄である遠方の裁判所をオンラインでつなぐことで、遠方の裁判所へ出向くことなく調停に参加できる仕組みです。

 

ただし、弁護士へ依頼せずに自分で遺産分割調停に対応する場合、テレビ会議システムでは本人確認が難しいことから、テレビ会議システムの利用が認められるかどうかは状況によって異なります。弁護士に依頼しない場合においてテレビ会議システムの活用を希望する際は、管轄の裁判所へあらかじめご相談ください。

 

弁護士に依頼する

遺産分割調停の管轄裁判所が遠方であり出向くことが難しい場合は、弁護士にご依頼ください。弁護士へ依頼することで、自分が遠方の裁判所へ出向くことなく、弁護士に代理で出席してもらうことが可能となるためです。


また、弁護士の事務所からテレビ会議システムをつなぐことで、裁判所に出向くことなく、自身も弁護士の事務所から遺産分割調停に参加できます。

遺産分割調停の対応を弁護士に依頼するメリット

裁判所へ出向いた経験のある人は少なく、遺産分割調停に自分で対応することに不安を感じる人も少なくないでしょう。その際は、弁護士に対応を依頼できます。最後に、遺産分割調停のサポートを弁護士へ依頼する主なメリットを4つ解説します。

 

1.調停に同席してもらえて安心だから

1つ目は、弁護士に依頼することで、遺産分割調停に同席してもらえる点です。

 

調停当日は、どのような内容を聞かれるのか、裁判所へ着いたら迷わず所定の待合室へたどり着けるかなど、不安を感じることも少なくないでしょう。また、遺産分割調停の待合室は相手方と別れているとはいえ、家庭裁判所のロビーなどで顔を合わせてしまう可能性はゼロではなく、この点に不安を感じるケースもあると思います。


緊張や不安のあまり、本心とは異なる主張や自己の発言と矛盾する主張をしてしまったり、冷静に検討できないまま相手の要求を呑む発言をしてしまったりすれば、遺産分割調停で不利となってしまいかねません。弁護士に同席してもらうことで、味方が同席しているとの安心感が得られ、調停に落ち着いて臨みやすくなります。

 

また、遺産分割調停の管轄裁判所が遠方である場合や病気療養中である場合など裁判所に出向くことが難しい事情がある場合は、本人は裁判所へ出向かず弁護士に代理で出席してもらうこともできます。

 

2.申立ての手続きを代行してもらえるから

2つ目は、遺産分割調停の申立て手続きを代行してもらえることです。遺産分割調停を申し立てるには、さまざまな書類を用意しなければなりません。主に必要となる書類は、次のものなどです※2

 

・遺産分割調停申立書
・当事者等目録
・遺産目録
・相続関係図
・申立ての実情
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本などすべて
・そのほか、相続人の確定に必要な戸籍謄本や除籍謄本など
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・被相続人の除票または戸籍の附票
・相続人全員の住民票
・遺産である不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書
・遺産である預貯金の通帳または残高証明書
・遺産である有価証券(株式や投資信託など)の残高証明書
・遺産である自動車の車検証または運輸支局等が発行する登録事項証明書

 

このように、遺産分割調停の申立てには、非常に多くの書類が必要です。これらのほかに、状況に応じて必要となる書類などもあります。

 

特に、「申立ての実情」などは、ここに記載した事項が申立人の主張のベースとなって調停が進行することになります。そのため、機械的に書類を埋めるのではなく、主張の内容をよく検討したうえで書面を作成しなければなりません。申立書類に記載した内容と矛盾する内容の主張をすれば、調停において不利となるおそれがあります。

 

このような書類をすべて自分で作成したり取り寄せたりすることは容易ではないでしょう。弁護士へ依頼することで、弁護士に書類を作成してもらったり取り寄せてもらったりすることができるようになります。

 

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