メチャクチャしんどい…相続問題が長引く4つのパターン「相続人同士が疎遠・遺留分に問題あり・遺言書が疑わしい・資産の使い込みあり」【弁護士も警戒】

メチャクチャしんどい…相続問題が長引く4つのパターン「相続人同士が疎遠・遺留分に問題あり・遺言書が疑わしい・資産の使い込みあり」【弁護士も警戒】
(※画像はイメージです/PIXTA)

少子化、高齢化の進展や、単身者の増加などにより、相続のスタイルも変化しています。今回は、とくに相続問題に発展しやすい事例のうち「長期化しやすいケース」について、法律的見地から具体的な解決方法を探ります。不動産と相続を専門に取り扱う、山村法律事務所の代表弁護士、山村暢彦氏が解説します。

「相続人多数×疎遠な関係」では、トラブルになりがち

相続問題で裁判になったと聞くと、多くの方は「相続人同士、よほど仲が悪いのだろう」「相続分で折り合いがつかなくなり、裁判になったのだろう」と思われるのではないでしょうか。

 

しかし、相続人同士の関係性以前に「相続人が多すぎて、一部の人と連絡が取れない」という理由によるものが、かなり多くあります。

 

典型的なケースに「子どものいない方」の相続があります。子どもがいない方の場合、被相続人の親が存命なら親に、そうでないなら、きょうだいに相続権が渡ります。さらにそのきょうだいが亡くなっていると、その子ども、つまり、被相続人の甥・姪に相続権が行くことになります。

 

昨今は少子化傾向で、ひとりっ子や、きょうだいがいても2人~3人が多く、4人きょうだいとなるとかなり少なくなりますが、60代よりも上の世代となると、5人きょうだい、6人きょうだいという方も珍しくありません(第15回出生動向基本調査より)。

 

配偶者も子どももいない人が亡くなり、多くいたきょうだいも亡くなっているが、その子どもである甥・姪、それぞれ2~3人ずついる…という場合、相続人の人数は、10人程度まで増えてしまいます。人数が増えれば増えるほど、一部の相続人と連絡が取れない、連絡しても反応がない、あるいは海外に暮らすなどしていて居所がわからないといった事態も起きやすく、話し合いができないこともままあります。

 

このような場合、一体どうやって解決を図るのかというと、「裁判所」に持ち込むことになります。

 

「反応がない」という状況は、「付き合いがないから面倒くさくて対応しない」ことも多いのですが、裁判所から連絡がきた段階で「さすがにこれはマズい」と思い、出てきてくれて解決することもあります。裁判所に持って行けばとりあえず動いてくれるわけです。

 

「居所が不明」という場合は、状況によって手続きの名称が変わることがありますが、「不在者財産管理人」や「相続財産清算人」といった〈いない人の代わりに処理してくれる人〉を選任し、同じように裁判所で処理することになります。

 

一般の方は、裁判所について「起きたトラブルを、白黒つけて解決するところ」といった印象を持たれているようですが、実際には、そのようなドラマチックなことはあまり多くありません。

 

実際の裁判所は、法的に停滞している手続を終わらせるための機関であり、「紛争の終局的解決機関」という位置づけなのです。そのため筆者は、依頼人の方々に「相続は裁判所に持っていけば終わります」とよく申し上げています。

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