「米国の資産」に魅力を感じているのは日本人だけ?…市場で囁かれる「米国の一国覇権」終焉の可能性【マクロストラテジストの考察】

「米国の資産」に魅力を感じているのは日本人だけ?…市場で囁かれる「米国の一国覇権」終焉の可能性【マクロストラテジストの考察】
(※写真はイメージです/PIXTA)

S&P500をはじめとした米国株や、高い金利を誇る米国債など、「米国の資産」に魅力を感じている日本の投資家は多いでしょう。しかし、実はドルの盤石ではないファンダメンタルズについて、過去60年近く指摘されてきていることはあまり知られていません。にもかかわらず、日本の投資家はなぜ「米国の資産」に魅力を感じるのか、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が考察します。

今後は「弱いドル」を「弱い円」が支える

中央銀行は債務超過、市中銀行は巨額の債券含み損…“弱体化”するドル

ほかにも、

 

米連邦準備制度理事会(FRB)は、資金収支の赤字が拡大して、現在は事実上の債務超過です(→7月時点で1,271億ドルの債務超過)。

 

不換紙幣は「誰かが受け取ってくれる」という信用や、将来にわたる財政収支の流列に対する信用で成り立っていますから、FRBの債務超過がこれまでのところ、ドルの価値に影響を与えなかったことがただちに、今後の債務超過もドルに影響を与えないとはなりません。

 

米国の市中銀行は、保有資本の20%程度に相当する巨額の債券含み損(売買可能有価証券と満期保有目的有価証券の合計;3月末時点で5,165億ドル)を抱えています。

 

これらの債券を売却しなければ損失は表面化せず、金利が低下するか満期償還を迎えれば万事解決するものの、銀行システムは盤石ともいえません。

 

これらの状況を考えると、ドルや米国債のファンダメンタルズは決して強固とはいえないでしょう。

 

では、今後、誰がドルを支えていくでしょうか。筆者は、日本だと考えます。日本の国際収支をみると、

 

・安定した第一次所得収支はドルや米国債に再投資されている。

 

・原発が止まり、戦争で高騰した化石燃料を購入するためにドル買い・円売りをする。

 

・自前のテクノロジー企業やプラットフォーム企業を作らず、もしくは、採用せず、米国のテクノロジー企業を全面的に受け入れ、これらの独占・寡占企業に言い値でサービス利用料を支払う。

 

・家計は、新NISAで(主に)米国の株式を買う。

 

すなわち、見えてくるのは、ファンダメンタルズが弱い円が、ファンダメンタルズが弱いドルを支える構図です。

 

たとえば、ひとつ、思考実験として、日本で金利が上がったらどうなるかを考えてみてください。

 

我々は、上手に資産運用を進める必要があるでしょう。

 

<<レポート全文はコチラ>>

 

 

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

注目のセミナー情報

【減価償却】9月20日(金)開催
<税理士が解説>経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」を活用した賢い節税対策

 

【医院開業】9月26日(木)開催
【医師限定】人生設計から考える!
医療業界に精通したFPが語る〈医院開業資金〉のリスクと備え

 

【海外不動産】9月28日(土)開催
海外不動産の投資手法をアップデート!
日本国内の銀行融資を活用した最新・ベトナム不動産投資戦略

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【ご注意】
※本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧