今後は「弱いドル」を「弱い円」が支える
中央銀行は債務超過、市中銀行は巨額の債券含み損…“弱体化”するドル
ほかにも、
米連邦準備制度理事会(FRB)は、資金収支の赤字が拡大して、現在は事実上の債務超過です(→7月時点で1,271億ドルの債務超過)。
不換紙幣は「誰かが受け取ってくれる」という信用や、将来にわたる財政収支の流列に対する信用で成り立っていますから、FRBの債務超過がこれまでのところ、ドルの価値に影響を与えなかったことがただちに、今後の債務超過もドルに影響を与えないとはなりません。
米国の市中銀行は、保有資本の20%程度に相当する巨額の債券含み損(売買可能有価証券と満期保有目的有価証券の合計;3月末時点で5,165億ドル)を抱えています。
これらの債券を売却しなければ損失は表面化せず、金利が低下するか満期償還を迎えれば万事解決するものの、銀行システムは盤石ともいえません。
これらの状況を考えると、ドルや米国債のファンダメンタルズは決して強固とはいえないでしょう。
では、今後、誰がドルを支えていくでしょうか。筆者は、日本だと考えます。日本の国際収支をみると、
・安定した第一次所得収支はドルや米国債に再投資されている。
・原発が止まり、戦争で高騰した化石燃料を購入するためにドル買い・円売りをする。
・自前のテクノロジー企業やプラットフォーム企業を作らず、もしくは、採用せず、米国のテクノロジー企業を全面的に受け入れ、これらの独占・寡占企業に言い値でサービス利用料を支払う。
・家計は、新NISAで(主に)米国の株式を買う。
すなわち、見えてくるのは、ファンダメンタルズが弱い円が、ファンダメンタルズが弱いドルを支える構図です。
たとえば、ひとつ、思考実験として、日本で金利が上がったらどうなるかを考えてみてください。
我々は、上手に資産運用を進める必要があるでしょう。
重見 吉徳
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