会社員でも、「本代」や「スーツ代」を経費にできる!?
――会社員のなかには、自己研鑽に励むために本を読んだり、資格取得を積極的に行う人もたくさんいますよね。こうした書籍代や資格取得代って決して少なくないお金だと思うんですが、これを経費にすることはできないんですかね?
黒瀧氏(以下、黒)「そうですね。方法はあります。仕事に関する費用を数十万円単位で負担している場合、『特定支出控除』という形で給与から差し引ける場合があります」
――サラリーマンの節税策って少ないので、ちょっとでも控除できたら嬉しいですよね。
黒「はい。今回はそんな特定支出控除について、適用条件や計算方法についてわかりやすく解説していきます」
「特定支出控除」なら、自腹の支出の一部が経費になる
黒「『特定支出控除』とは簡単にいうと、サラリーマンなどの給与所得者が業務上自腹で払った支出を特定支出として経費扱いにしてくれて、支払った費用の一部について控除を受けられるというものです」
――“一部について”ということは、全額を経費にできるわけではないんですね。
黒「そうなんです。ざっくりいうと、特定支出の合計額のうち、給与所得控除額の2分の1を超える部分の金額に関しては特定支出控除を受けることができます」
――では、具体的にどんなものが特定支出として認められるのでしょうか?
黒「特定支出に該当するものは、以下の6つです」
1.通勤費
2.転居費
3.研修費
4.資格取得費
5.帰宅旅費
6.勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費)
――結構あるように見えますが、通勤費とかって会社が負担してくれることが多いですよね。その場合も使えるんですか?
黒「残念ながら、それはできません。通勤費については会社から『非課税の手当』を受け取っていることになるため、特定支出には含まれません。
たとえば、会社に車で通勤していて、ガソリン代を自腹で払っていたとしても、会社から通勤手当として支給されているのであれば、その金額は特定支出控除には含めません」
――なるほど。そうすると特定支出に該当する項目のうち、使いやすいものは限られてきそうですね。
黒「そうなんです。サラリーマンが使いやすいのは、4.資格取得費と、6.勤務必要経費になるでしょう。次でそれぞれ詳しくみていきます」
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