体が衰え、口うるささが加速した〈年金16万円・75歳〉の母のお世話に、40代バツイチ長女疲弊…無責任な外野の親族との攻防に見た、介護生活の切ない実情

体が衰え、口うるささが加速した〈年金16万円・75歳〉の母のお世話に、40代バツイチ長女疲弊…無責任な外野の親族との攻防に見た、介護生活の切ない実情
(※写真はイメージです/PIXTA)

家族の在り方、個人の生き方が大きく変化している現在、高齢の家族を自宅介護できる人は限られている。しかし、人々が思い描く「理想の介護」はアップデートされていないようで…。実情を見ていく。

体が思うように動かないぶん、口うるささが加速して…

佐藤さんと母親は、若いときからあまり折り合いがよくなかったというが、年を取ってお互いに丸くなるかと思いきや、まったくそうはなっていなかった。

 

「母は、年を取って体が思うように動かなくなったぶん、さらに口うるささが加速しました。でも、年を取ればあちこち悪くなるのは当たり前ですから。お互いに悪態をつきながら、それでもサポートすることが増えていって…」

 

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、主な介護者が「ほとんど終日介護にあたったいる」という割合は、「要介護1」では11.8%だが、「要介護2」は17.0%、「要介護3」は31.9%、「要介護4」は41.2%、「要介護5」は63.1%…と、介護度が重くなるほど、負担も重くなっていく。

 

介護サービスを活用しようにも「他人に世話をされたくない」と母親はかたくなだ。しかし、強気な口調で他人の介入を拒む母親も、老いは確実に進んでいる。

 

女性はケアマネージャと相談し、母親を老人ホーム入居させるべく動き始めた。

「はぁ? そんなこというなら、あなたがお母さんを見なさいよ!」

女性の母親は75歳。施設の入居期間は一般的に5年以下といわれるが、長期の入居も想定し、月額費用は母親の年金額である月16万円以内で、入居金がなるべく安い施設を探した。すると、自宅から少し離れた施設に空きがあることが分かった。

 

「妹に、母を施設に預けようと思っていると伝えたのです。〈このままでは、私が働けなくなってしまうから〉と。そうしたら、〈お母さんをそんなところに押し込めて、財産をひとり占めするつもり!?〉だって…。〈はぁ? そんなこというなら、あなたが母を見なさいよ〉〈私はあなたと違って稼いでいるのよ、あんな家いらないわ〉って、いってやりましたよ」

 

一方、かたくなだった佐藤さんの母親だが、自宅でひとり留守番をしているときに、リビングの何もない場所で転んで腰を強打。それがショックだったようで、娘が勧めた施設への入所をしぶしぶ了承したという経緯があった。

 

ところが、妹に電話した翌日の日曜日、妹は母親の弟と妹である、叔父叔母を引き連れてやってきた。叔父と叔母は、家に来るなり挨拶もそこそこに、

 

「親をあんな所に押し込めるなんて、なにを考えているんだ!」

 

「子どもとしての責任を果たしたらどうなの?」

 

と激怒。

 

「お姉ちゃんは財産をひとり占めするつもりなのよ!」

 

と後ろからさらに追撃する妹のひと言に、佐藤さんはキレた。

 

「じゃあ、あなたたちが面倒を見なさいよ! 私は知らないわ!!」

 

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