高齢母からの同居要請に屈した、40代バツイチ会社員
少子高齢化が進展する日本では、高齢となった親の介護に悩む人が増えている。かつての日本は家族ぐるみで介護を行っていたが、その後、核家族化や共働き夫婦の増加といった家庭のあり方の変化により、従来のように「家族内で対処する」ことは難しくなっているのだ。
輪をかけて問題を難しくしているのは、想定以上の長生きと、介護する人・される人の「アップデートが追い付かない価値観」かもしれない。
横浜市在住の40代の女性、佐藤さん(仮名)は、折り合いの悪い母親を介護施設に入所させようとしたところ、自分のきょうだいや、母親のきょうだいである叔父叔母から大反対され、トラブルになったという。
「私は妹と2人姉妹なのですが、妹は電車で20分程度の距離に暮らしているのに、自分の家庭を理由にして〈我関せず〉を貫いているのです」
佐藤さんは独身の会社員。30代でバツイチとなった。お子さんはいない。
「離婚後もずっと同じ会社に勤務しています。中間管理職で、収入は一般的なサラリーマンの平均より少し上ぐらい。残業もありますが、そこまで大変ではありません」
佐藤さんが離婚した6年前、すでに父親は亡くなっており、川崎市の実家では母親がひとり暮らしをしていた。母親は離婚した娘に実家へ戻るよう再三にわたって要請したという。
最初はかたくなに拒否していた佐藤さんだが、周囲の親族から「離婚して親を悲しませるなんて」「長女なのに無責任」と攻め立てられ、いったん実家に戻る形になった。
「そのせいで、心底後悔することになりました…」