節税のチャンピオン〈タワマン税制〉も終了、永遠ではない税制のなかで「節税目的で不動産投資」をすることが“本質を欠いている”と考えるワケ【不動産投資のプロが解説】

節税のチャンピオン〈タワマン税制〉も終了、永遠ではない税制のなかで「節税目的で不動産投資」をすることが“本質を欠いている”と考えるワケ【不動産投資のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「減価償却費を上手く活用することで節税できる」として、節税目的で不動産投資をするケースは少なくありません。しかし実際のところ、減価償却による節税を実現するにはいくつもの前提をクリアする必要があり、不確定要素も少なからず残ります。税金を納める本来の意味を考えても、節税だけに囚われて不動産投資をするのは「本質を欠いた行い」ではないかと語るのは、株式会社プラン・ドゥの代表・杉山浩一氏です。今回は、杉山氏の著書『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋し、節税に関する杉山氏の考えをご紹介します。

節税に心を奪われ奔走するのは「本質を欠いた」行い

多くの人が節税に走るのは現在の税制によります。細かなロジックについては割愛しますが、高額所得者の場合は、5年間所有すれば所得税率の方が高額になるため、減価償却のメリットを享受できるというだけのことです。

 

それでも、こうしたロジックが機能するためにはいくつかの前提が必要です。

 

①現在の税制がそのまま継続していくこと

②給与所得が高いこと(年収1,200万円が目安)

③個人名義であること(長期譲渡所得と所得税との税率の差額が節税となるため)

④購入時と売却時の価格が変わらないこと

⑤6年目または7年目で売却すること(デッドクロスの回避)

⑥償却効果がなくなったとき、または売却時において当該不動産収益以外の所得が今より低くなっていること

 

少なくとも、これら6つの前提が同時に成り立っている必要があります。それは決して簡単なことではなく、例えば⑥などは、この時期に定年を迎えるように計画して所得を低くしたり、効果のある時期をピンポイントで狙って売却したりするなどの方法が考えられますが、不確定要素は少なからず残ります。

 

だからこそ、近視眼的かつギャンブルの要素も残る方法に心を奪われ、奔走するのは、本質を欠いた行いであり、割り切れない想いがどうしても付きまといます。

 

かつては「節税のチャンピオン」といわれたタワーマンションの評価方法も、ついに変更を余儀なくされました。そもそも税制というものは時代と共に変化するものであり、将来的にあてにするようなものではないと私は思っています。

「社会貢献ゆえの免税である」という考え方

不動産投資による節税と言えば、減価償却がクローズアップされるわけですが、それ以外にも、というか、私としては資本主義社会における税金の意味として、より本質に近い減免制度がそもそも賃貸マンション経営には内包されていると考えています。

 

住宅の家賃が非課税のため貸主としてもこの収入(売上)から消費税を納める必要がないこと、住宅なので固定資産税が大きく免税されていること、そして相続財産としても貸家建付地としての大きな評価減があることなど、事業自体に免税が組み込まれています。

 

もちろん、これらの税制も不変であるとは言えませんが、社会的に必要な事業だから税金を納めるのと同様の効果がある、という考え方からの免税制度であると考えています。

 

 

杉山 浩一
株式会社プラン・ドゥ 代表取締役

 

 

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※本連載は、杉山浩一氏の著書『新富裕層のための本質的不動産投資』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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