黒田日銀総裁、「効かないはずの薬」で不況を「治療」!?
黒田氏が日銀総裁に就任したとき、「大胆に金融を緩和します。それにより、世の中に資金が出回り、株などが値上がりするでしょう」と自信満々の記者会見をしました。それを聞いた投資家たちは、株等に買い注文を出したので、株等が値上がりし、それが景気を押し上げました。金融緩和で景気が回復したのです。
筆者は、元銀行員ですから「金融緩和をしても世の中に資金が出回らない」ことを知っていました。借り手がいなければ、銀行は日銀から受け取った資金を日銀に送り返してしまうからです。
しかし筆者は「元銀行員だけが真実を知っている」などといった自己満足に浸ることなく、「多くの投資家は元銀行員ではないから、総裁の記者会見を見て株を買うだろう。自分も買おう」と考えて株を買いました。
結果として儲かったので、何度も飲みに行きましたが、そのときに「黒田総裁ありがとう」と言って乾杯したのは間違いでした。黒田総裁が金融を緩和しても、ケインズの教えを知らなければ筆者は株を買わなかったでしょうから、儲けることができなかったはずなのです。したがって、「ケインズ先生ありがとう」と言わなければならなかったのです。
講演でこの話をしたところ、「黒田総裁は世の中に資金が出回らないことを知っていたのですか」という質問が出ました。大変答えにくかったので、「黒田総裁は、効かないはずの薬で不況という病を治したのだから、名医です」とだけ答えました。
医学の世界では、患者に「よい薬だ」と言って小麦粉を渡すと、患者の病気が治癒することがあり、「偽薬効果」と呼ばれているようです。薬のない場所で医者が患者に小麦粉を渡して、病が治癒したとすれば、それは名医と呼ぶべきでしょう。「小麦粉だと知らなかった愚か者」「小麦粉を薬だと偽った詐欺師」などと呼ぶべきではありませんから。
長期投資の場合は、噂より「真実」が重要
ケインズの教えは、短期投資には大いに役立ちますが、長期投資には役立たないので注意が必要です。10年持つつもりで株を買うならば、真実を見つめる(10年後も利益を稼いでいる会社か否かを検討する)ことが重要です。
悪い噂が流れているなら、株価が安値に放置されている可能性が高いので、むしろ買い材料でしょう。「人の噂は75日で消えるから、株価が適正水準に戻ると期待される。いまが買い時だ」と考えるわけですね。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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