「来てくれるのはうれしい」それでも増えていった負担感
都内近郊で一人暮らしをする洋子さん(仮名・69歳)。数年前に夫を亡くして以降、自宅で穏やかな生活を送ってきました。年金は月22万円、貯蓄は3,800万円ほど。経済的には大きな不安はなく、週に数回の買い物や近所の友人との交流を楽しむ日々でした。
そんな洋子さんのもとに、息子家族が頻繁に訪れるようになったのは、孫が生まれてからのことでした。
「最初は、本当にうれしかったんです。孫の顔が見られるのは何よりの楽しみでしたから」
息子の祐一さん(仮名・42歳)は共働きで、妻とともに幼い子どもを育てています。忙しい平日の反動もあってか、週末になるとほぼ毎週のように洋子さんの家を訪れるようになりました。
最初のうちは「顔を見せに来てくれている」と受け止めていましたが、徐々にその訪問が負担になっていきます。
「お昼はどうする?と聞かれることが増えて、気づけば私が用意する流れになっていました」
冷蔵庫にはあらかじめ食材を揃え、孫の好みに合わせたメニューを考える。食後の片づけや掃除も含めると、半日以上がその準備と対応に費やされるようになっていました。
「誰かに強制されたわけではないんです。でも、“せっかく来るならちゃんとしてあげたい”と思ってしまって」
総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢単身無職世帯の平均消費支出は月14.8万円です。限られた生活費の中で、来客が増えれば食費や光熱費は上振れしやすく、見えない負担が積み重なります。
「お金というよりも、気力の問題でした。週に一度でも、準備と後片づけを考えると、正直きついと感じるようになって」
それでも洋子さんは、「来るな」とは言えませんでした。
「孫に会いたい気持ちは本当なんです。でも、毎週となると、少し重く感じてしまって」
