(写真はイメージです/PIXTA)

投信信託の最新動向について分析すると、毎月分配型の外国株式ファンドが販売をけん引したといいます。ニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏が解説します。

インデックス型の米国株式ファンドも売れた

また、6月は一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドにも8,100億円の資金流入と5月の7,800億円から増え、少額ではあるが2カ月連続の増加となった。インデックス型の外国株式ファンドは1月に資金流入が急増してから鈍化していたが、持ち直してきたのかもしれない。

 

最近のインデックス型の外国株式ファンドの一般販売を支えているのは、米国株式ものである。6月はインデックス型の米国株式ファンド(黄棒)に4,200億円の資金流入がものにあり、2カ月の連続の増加となった【図表4】。なお、全世界株式指数に連動するインデックス型のグローバル株式ファンド(青棒)は3,600億円の資金流入と5月からやや鈍化した。

 

米国株式ものが盛り返している2つの理由

インデックス型の中で米国株式ものは昨年からやや人気に陰りがみられ、1月までややグローバル株式のものに押されていた。それでも2月以降に盛り返してきている要因は2つあると思われる。

 

まず、何と言っても米国株式が2024年に入って好調なことである。2024年上半期のドル建ての騰落率をみても全世界指数が10%であったのに対してS&P500種株価指数は14%だった。さらにNASDAQ100は17%、FANG+指数やフィラデルフィア半導体株指数、いわゆるSOX指数にいたっては30%以上も上昇した。足元の高パフォーマンスから米国株式を改めて見直す投資家や全世界に分散投資せずに米国のみで十分と考える投資家が増えたのではないだろうか。

 

それに加えてインデックス型の米国株式ファンドはFANG+指数やNASDAQ100、さらにはSOX指数に連動するものなど商品ラインナップが充実してきていることもあげられる。6月に高パフォーマンスだったファンドをみてもアクティブ型の米国株式ファンド(青太字)に交じって、3本の異なる指数に連動するインデックス型の米国株式ファンド(赤太字)もあったくらいである(図表5)

 

このことからも分かるように米国株式ファンドは従来の一律なインデックス型、多種多様なアクティブ型といった垣根がなくなってきている。例えば米ハイテク株のみに集中投資したいという投資家のニーズにもインデックス型で応えることができるようになっている。

 

それもあってインデックス型の米国株式ファンドは過去にテーマ型などを購入していた投資家など、より多くの投資家に買われるようになり資金流入が底上げされていると考えられる。実際に6月は米国株式ファンドへの4,200億円の資金流入のうち700億円がハイテク銘柄中心の指数に連動するものへの流入であった。

 

 

外国株式とバランス型以外は低調だった

6月は外国株式ファンドに加えてバランス型ファンドも売れた。バランス型ファンドに1,300億円の資金流入があり2024年に入って最大であった。バランス型ファンドへの資金流入が1,000億円を超えたのは2022年10月以来のことであった。

 

その一方で外国株式ファンドとバランス型ファンド以外は、一般販売しているもの限ると売却超過であった。国内株式ファンドと外国債券ファンドは資金流出に転じ、外国REITファンド、国内REITファンド、国内債券ファンドは引き続き資金流出していた。そのため、ファンド全体でみると1兆5,400億円の資金流入と5月の1兆4,600億円から800億円増加したが、外国株式ファンドが2,300億円も増えた割には小幅な増加であった。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年7月8日に公開したレポートを転載したものです。

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