(※写真はイメージです/PIXTA)

歴史的な円安環境にある現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「注目の経済指標」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

前週の米ドル/円の振り返り

為替市場では、前週末に公表された6⽉の雇⽤統計が労働市場の減速を⽰唆したことを受け、FRBによる早期利下げ観測が⾼まりました。そのため、円⾼⽶ドル安に振れる場⾯があったものの、⽶⻑期⾦利が上昇したことや、株⾼を意識したリスク選好的な円売りが優勢となったことから、10⽇にかけて、円安⽶ドル⾼が進⾏しました。

 

その後、6⽉の⽶CPIが市場予想を下回り、⽶⾦利が低下したことや、⼀部で報じられている政府・⽇銀の為替介⼊による円買いとみられる動きもあり、12⽇には、1⽶ドル=159.11円と5⽇(161.17円)に⽐べ、円⾼⽶ドル安となりました(図表1)。

 

出所:Bloomberg
[図表1]ドル円と⽇⽶⾦利差 出所:Bloomberg

7月第3週に注目したい経済指標

来週は、⽶国で公表される6⽉の⼩売売上⾼やECB理事会などに注⽬しています(図表2)。

 

出所:Bloomberg
[図表2]来週発表予定の主要経済指標 出所:Bloomberg

 

6⽉の⼩売売上⾼は、前⽉⽐▲0.2%(5⽉︓同+0.1%)と、2ヵ月ぶりに減少することが予想されています。物価⾼が家計を圧迫するなか、5⽉は、家具や外⾷などの不要不急の⽀出が抑制され、4⽉(前⽉⽐▲0.2%)の落ち込みを取り戻すに⾄りませんでした。

 

GDPのうち、7割を占める個⼈消費の動向は、⽶景気を左右することになります。GDPNow※1(アトランタ連銀)によると、4-6⽉期の実質GDP(推計値)は、4⽉、5⽉の低調な⼩売売上⾼などを反映して下⽅修正され、最新の推計値では、前期⽐年率2.0%となることが予想されています(図表3)。

※1 アトランタ連邦準備銀⾏が、リアルタイムに⽶国の経済成⻑率を予測することを⽬的に公表している指標

 

出所:Bloomberg、アトランタ連銀
[図表3]各種経済指標公表後の4-6⽉期実質GDPの変化(GDPNow) 出所:Bloomberg、アトランタ連銀

 

6⽉の⼩売売上⾼も低調な結果となれば、4-6⽉期の実質GDPは、さらに下⽅修正され、⽶景気の減速感を強める可能性があります。

 

次ページ欧州中央銀行(ECB)の追加利下げの時期に注目

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