先週の為替市場…「円高米ドル安」が進行
為替市場では、2月のISM製造業景況指数が市場予想を下回ったことやトランプ米大統領の円安けん制発言、連合から発表された2025年春闘の賃上げ要求が日銀の追加利上げを後押しするとの見方などから、円高米ドル安が進行しました。
7日には1米ドル=148.07円と2月28日(149.67円)に比べ円高米ドル安となりました(図表1)。
年明け以降、日米金利差が大きく縮小しているにもかかわらず、急速な円高は回避されています。シカゴ通貨先物市場IMMにおける投機筋による円のポジション※(持ち高)をみると、円ロング(買い)のポジションは2月25日締めの集計で17.2万枚と過去最大級に積み上がっており、これ以上の円高米ドル安余地が小さいことを示しています(図表2)。
※ IMMポジションについて……⽶国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場している「IMM通貨先物」のポジション動向のことです。為替市場の参加者の間で特に注⽬されるのが、Non-Commercialと呼ばれる⾮商業部⾨(投機筋)の数値です。
日米金利差の縮小に歯止めがかかれば、金利負担が重い米ドル売り・円買いのポジションを一斉に巻き戻す動きが広がり、想定以上に円安米ドル高が進行することも考えられます。
今週は、春闘の第1回回答集計結果などに注⽬
今週は、春闘の第1回回答集計結果などに注目しています(図表3)。
労働団体の連合は昨年11月、2025年春闘における賃上げ目標を決定し、基本給を底上げするベースアップは3%以上、定期昇給を合わせた賃上げ率は5%以上に設定しました。
大企業を含む全体の賃上げ率は2024年の春闘と同じ5%以上としたものの、中小企業については6%以上と、より高い水準の目標を掲げました。2024年春闘では定昇込みの平均賃上げ率が全体で5.10%(2023年:3.58%)と、33年ぶりの高い水準となり(図表4)、2025年春闘では昨年を上回る賃上げが実現するかが注目されます。
こうしたなかで、連合が6日に発表した賃上げ要求(定期昇給を含む)は6.09%と1993年以来の高水準となり、賃上げ気運の高まりを示唆する内容となりました。
次の焦点は、12日に予定されている春闘の集中回答日です。多くの企業における労使交渉の回答が行われ、賃上げ気運の高まりが示される可能性があります。その結果を受けて、14日には連合から春闘賃上げ率の第1回回答集計結果が公表されます。
仮に、2024年春闘の第1回回答集計結果(5.28%)を上回れば、日銀が基調的な物価上昇率が高まっていくことに自信を深めることになります。その場合、市場では日銀による利上げの前倒しや、ターミナルレートの上振れが意識される可能性があります(2024年春闘の回答集計結果は図表5参照)。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】3月第3週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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