「円安圧力」と「円高圧力」で方向感の出にくい一週間だった
為替市場では、トランプ政権による関税政策が米国の物価上昇圧力を高め、FRBによる追加利下げが遠のくとの見方が円安圧力となる一方で、米景気減速への懸念や日銀による追加利上げ観測の高まりが円高圧力となり、方向感の出にくい一週間となりました。28日には1米ドル=149.67円と21日(149.86円)に比べ小幅な円高米ドル安となりました(図表1)。
今週は、内⽥⽇銀副総裁の講演や⽶雇⽤統計などに注⽬
今週は、内田日銀副総裁の講演や2025年2月の米雇用統計などに注目しています(図表2)。
日銀政策委員会のメンバーの発言内容を振り返ると、追加利上げに前向きな発言が見受けられます(図表3)。
こうした発言に加えて、強い経済指標が相次いだことも、日銀による追加利上げ観測を強めるきっかけになったと考えられます。具体的には、①2024年12月毎月勤労統計で実質賃金が2ヵ月連続で前年比プラスを維持したこと、②2025年1月国内企業物価指数が前年比+4%を超えたこと、③2024年10-12月期実質GDPが市場予想を上回ったことなどが挙げられます。
日銀からのタカ派的な情報発信とこれらの経済指標から、一部の市場参加者の間では、日銀がより早く短い間隔での利上げに踏み切るとの見方が出始めています。債券市場は以前よりも高いターミナルレート(政策金利の最終到達点)を織り込むようになり、長期金利も大きく上昇しています(図表4)。
市場が織り込むターミナルレートの是非を判断する材料として、目先は内田日銀副総裁の講演が焦点となります。内田日銀副総裁は他のメンバーと同様、利上げの方向性を明確に否定しないと予想されるものの、早期の利上げに慎重な見方を示す可能性があります。逆に、利上げにより前向きな発言があれば、長期金利に対する上昇圧力が強まる可能性もあります。
最近の雇用統計を振り返ると、非農業部門雇用者数は2024年10月にハリケーンやボーイング社のストライキなどにより落ち込んだ反動から、11月が前月差+26.1万人、12月が同+30.7万人と加速した後、2025年1月には同+14.3万人へ減速しました(図表5)。2月はこうした影響が剥落することで前月差+15.8万人と、米経済の巡航速度に見合う水準に着地するとみられます。
失業率については4.0%と、12月と同水準となることが予想されています。週次の新規失業保険申請件数は引き続き低位にとどまっていることからも、失業率が上昇する可能性は低いと考えられます。1月FOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長は利下げの条件の一つとして、労働市場の弱さを挙げているだけに、2月の雇用統計が事前の予想通りの結果となれば、改めてFRBの利下げ慎重姿勢を正当化することになります。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】3月第2週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」【解説:東京海上アセットマネジメント】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】