AI導入が遅れる「フィリピン」だったが…「ロードマップ作成」&「研究拠点設立」で本腰

7月8日週「最新・フィリピン」ニュース

AI導入が遅れる「フィリピン」だったが…「ロードマップ作成」&「研究拠点設立」で本腰
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンのAI導入への取り組みと最新の不動産市況についてレポートしました。

フィリピン「住宅価格」上昇率、鈍化

フィリピンの中央銀行バンコ・セントラル・ング・ピリピナス(BSP)は、2024年の第1四半期の全国的な住宅価格の上昇率が鈍化したと発表しました。住宅不動産価格指数(RREPI)は、前年同期比で6.1%の上昇を記録しましたが、これは前四半期の6.5%、前年の10.2%の成長率と比べると減速しています。全国的な住宅価格の成長率としては、2022年第2四半期の2.6%以来の低い数値となりました。

 

四半期ベースでは、住宅価格は1.1%上昇し、前四半期の3.6%の減少から回復しました。このRREPIは、異なる住宅タイプと場所の住宅価格の平均を追跡し、銀行の不動産市場への露出を監視するためにBSPが活用しています。

 

コリアーズ・インターナショナルは、住宅への需要の低迷が価格上昇の鈍化の主な原因であると指摘しています。メトロマニラでは、プレビルドで販売されたユニット数は前年同期比で52%減少し、3,000ユニットのみでした。発売も前年同期比で59%減少しています。

 

BSPのデータによると、マンションユニットの価格は前年同期比で10.2%上昇しました。これは前四半期の4.1%および前年同期の1.2%と比べて高い数値です。一方で、戸建住宅の価格は前年同期比で5.1%上昇しましたが、これは前四半期の9.5%および前年同期の17%と比べて鈍化しています。

 

コリアーズは、特に海外フィリピン労働者(OFW)にとって戸建て住宅や土地は依然として魅力的ですが、需要はまだパンデミック前のレベルには戻っていないと述べています。

 

マニラ首都圏(NCR)の住宅価格は第1四半期に前年同期比で2.8%上昇し、前四半期の4.3%、前年同期の7.3%と比べて鈍化しました。一方、NCR以外の地域(AONCR)の住宅価格は前年同期比で7.4%上昇しましたが、前四半期の7.8%および前年同期の11.4%と比べて鈍化しています。

 

コリアーズは、需要の増大は、特に中央ルソン、カラバルソン、西ビサヤ、中部ビサヤ、ダバオ地域の戸建ておよび土地のみから来ると予想しています。また、不動産ローンは、第1四半期に前年同期比で8.9%増加しましたが、前四半期の30.5%および前年同期の16%と比べて鈍化しています。

 

詳細に見ると、NCRおよびAONCRの住宅ローンはそれぞれ3.2%および11.4%増加。第1四半期におけるフィリピンの新規住宅ユニットの平均価格は、平方メートルあたりP82,260でした。NCRはP132,743で、AONCRはP61,163でした。

 

今後の、メトロマニラでのプレビルドマンションの発売については、在庫が依然として約3年分あるため、ディベロッパーは新規発売に慎重になると予想されています。また、戸建てや土地はOFWの間で人気がありますが、依然として高い住宅ローン金利がバイヤーを様子見にさせています。

 

BSPは、基準金利を6.5%で据え置いており、これは過去17年で最高水準です。年内に金利の引き下げがない場合、住宅への需要は引き続き低調である可能性があります。このため、2024年の残りの期間で需要と価格の大幅な増加は見込めいというのがコリアーズの見立てです。

 

BSP総裁レモロナ氏は、8月に25ベーシスポイント(bps)の金利引き下げを視野に入れていると述べ、第4四半期にさらに25bpsの金利引き下げを行う可能性があるとしています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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