税務調査は「午前中」に要注意。納税者のボロを誘う…税務調査官の一見“無意味な会話”の真意【税理士が事例をもとに解説】

税務調査は「午前中」に要注意。納税者のボロを誘う…税務調査官の一見“無意味な会話”の真意【税理士が事例をもとに解説】
画像:PIXTA

税務調査官とのやりとりは、一見、何の意味もないことのように思えても、納税者が後に言い逃れができないよう、外堀を埋めようとしている可能性が高いです。調査官の質問には全て意図があると考えて、税務調査当日には、突っ込まれる余地のない適切な回答をするよう、ちょっとした雑談にも細心の注意が必要です。本記事は、多くの相続事例を担当してきた大田貴広氏の著書『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)より、一部を抜粋・再編集してお届けします。

税務調査当日の“タイムスケジュール”

税務調査は、税理士に相続税申告書の作成を依頼していれば税理士を通して日程調整した上で行われます。

 

場所は、亡くなった方の自宅もしくは相続人の自宅で行われることが多いです。当日調査官は2人1組でやってきます。納税者と調査官との間で言った言わないがないように、必ず2人でやってくる決まりとなっています。調査は午前10時から夕方の16時頃まで行われます。1日のタイムスケジュールは次の流れです。

 

10~12時(午前中) 亡くなった方の経歴、趣味、病歴、家族の経歴や勤め先などのヒアリング

 

12~13時(お昼休憩) 調査官が退席(昼食の準備は不要)

 

13~16時(午後) 銀行へ同行(貸金庫がある場合) 、午前中の調査の伏線を回収、家の中の確認、申告漏れ財産の指摘

 

調査に入る前に、名刺交換を済ませるとまず軽く雑談をします。これは緊張している納税者を和ませて証言を取りやすくすることが目的です。

一見何の意味もないように感じるが…

そしていよいよ調査です。午前中の調査では、まだ核心には触れてきません。ここではまずご家族の経歴を聞きます。

 

亡くなった方の出身地や学歴、職歴、どのようにして資産を築いてきたのか、その背景を探ります。特に亡くなる直前の状況は事細かに聞かれますので、闘病の頃が鮮明に思い出され、涙されてしまう納税者の方もいます。また亡くなった方だけではなく、その配偶者や子供の経歴や勤め先なども確認されます。

 

このように、相続税の税務調査ではまず核心には触れず、亡くなった方の略歴を中心に確認します。世間話をするような感じで調査が進むため、一見何の意味もないように感じますが、実は午後に核心をついた質問をするための準備をしているのです。午前中の段階で言い逃れができないよう、納税者が油断しているうちに外堀を埋めていくのです。

 

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相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法

相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法

大田 貴広

KADOKAWA

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