なぜ、タンス預金は税務署にバレるのか
みなさんは「銀行からお金を引き出してどこかに隠せば、税務署には見つからないのではないか」と考えたことはありませんか。この考えは甘いです。タンス預金を隠そうとしても、後々高い確率で税務署に暴かれます。彼らは歴戦の猛者です。誰もが一度は考えるような脱税の手口は、いとも簡単に見抜かれてしまいます。
もし脱税が見つかれば、重加算税という重いペナルティがかかる上に、最悪逮捕される可能性もあります。ここでは、脱税をたくらむ主人公Aさんを題材に、税務署がどのようにタンス預金を調査していくかを解説します。
余命3年の父…妻は先立ち、身寄りは一人息子だけ
物語は、ある日、Aさんの父が体調を崩してしまうところから始まります。病院で診てもらった結果、父は余命3年と宣告され、それ以降は入院生活を送ることになりました。父は妻に先立たれており、身寄りは息子のAさんだけでした。そこで父はAさんにある頼みごとをします。
「息子よ。俺は今までたくさん働いてたくさん税金を払ってきた。そして1億円も財産を築いた。せっかくここまで財産を築いてきたのに、最後相続税で何千万円も取られるのはかなわん。どうにかならんか」
仮にこのお父さんが亡くなると、相続税はどれくらいかかるのでしょうか。財産額が1億円、相続人が息子のAさん1人の場合、相続税は1,220万円かかります。相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で、このバーを越えてしまうと相続税がかかります。このお父さんの場合、基礎控除が3,600万円(3,000万円+600万円×1人)ですので、財産額がこの額を下回れば相続税はかかりません。
息子のAさんは、税理士などには頼らずに相続税がかからない方法を考えました。そこである一つの結論を出します。
「そうだ。お父さんの口座からコツコツお金をおろして、自分の貸金庫に隠せば、口座の残高が相続税の基礎控除の3,600万円以下になるから、相続税はかからないな」
このことを話すと父は「そうか。相続税のことは任せた。私の通帳と印鑑を預けるから好きなようにしてくれ」ということで、Aさんに通帳などを預けました。
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