消えたお金は?→「ギャンブルが趣味だった」と嘘をつくとどうなるか
亡くなった方の出身地を聞くのは、その場所の近くの金融機関に申告漏れをしている預貯金口座がないかどうか、また先代から相続した不動産がないかどうかなどを探っています。趣味がゴルフや旅行という場合には、ゴルフ会員権やリゾート会員権の申告漏れがないかを確認します。
また性格を聞くのは、その暮らしぶりからどのようなお金の使い方をしていたのかを確認するためです。亡くなった方が堅実でお金に厳しいタイプと証言された場合は、「通帳から不明な出金があれば、タンス預金をしているかもしれないので詳しくチェックしてみよう」ということになります。逆にギャンブルや交遊費などで散財する癖のある人だったということになれば、多少の不明出金があっても自然ということになります。
ではこれを逆手にとって、ギャンブルや交遊が趣味だったと証言し、嘘をついた場合はどうなるでしょうか。税務署はその職権を使って、実際にお店や故人の関係者へ聞き込み調査を行い、事実かどうかを徹底的に確認しますので、簡単に嘘がバレてしまいます。嘘がバレた場合は最高40%の重加算税というペナルティが割増しでかかりますので、タンス預金を隠そうとしている場合は申告しておくほうが賢明でしょう。
納税者のボロを誘う“巧妙な手法”
亡くなる直前の状況を細かく聞くのは、どのタイミングで家族へお金の管理が移っているのかを把握するためです。
例えば、亡くなる3ヵ月前に500万円を引き出したにもかかわらず、この現金の申告がなかった納税者がいたとします。ここでいきなり「500万円の引き出しがありますが、内容ご存じですか?」と納税者に質問すると「いや、親のお金なので私は全く分かりません」と白を切られてしまうことになります。税務署はこうならないように午前中の調査の段階で500万円の引き出しには触れず、何気ない会話からさりげなく相手のボロを誘うのです。
調査官「親御様はいつまでお元気でしたか?」
納税者「亡くなる半年前から体調を崩して入院をしていました」
調査官「では親御様のお金の管理はどなたが行っていたのですか?」
納税者「入院してからは私の妻が行っていました」
このような具合に核心に触れる前に裏取りできれば、500万円は親が引き出したという言い訳ができず、納税者が分からないと言い逃れできなくなります。
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