「お一人様」になる高齢者が増加
さて、終活の話に戻ります。終活とは、家族の問題、形見分けの問題、財産の問題、相続の問題、年金の問題、葬儀の問題、遺言の問題、お墓の問題などを、エンディングノートにつけることで整理し、専門化にアドバイスをもらいながら伴侶や家族が幸せに人生の終末を迎える活動です。
そのなかに、もちろん健康と医療の問題があります。とくに、男性と女性では平均寿命が10歳以上異なりますし、兄弟が昔と違って少ないですから、お一人様になる可能性がどんどん高くなります。
以前でしたら、「死んだあとは誰かがやってくれるだろう」「死んだ時のことなんて考えたくない」で済んだことが、これからはそうもいきません。このままでは、長生きしてしまうこと自体があらゆるリスクとなってしまいます。
ゆとりある老後生活のためには「月35万円」も必要!?
実際に何歳まで生きるのか、というリスクを考えてみましょう。
現在の平均寿命とは、0歳時の平均余命であり、これはあくまで「平均」です。当然、長生きする場合も十分あるわけです。数学的になりますが、いわゆる平均値±標準偏差1で占められる三分の二の範囲内の寿命計算ではリスク管理がちょっと甘すぎると思います。
ここでは、仮に四人に一人が生きている年齢、つまり25%の人が生きている可能性がある範囲内までを「生きている期間」と想定します。
この範囲内の寿命計算では(国立社会保障・人口問題研究所の予測)、2050年時点で男性は93歳、女性は98歳となります。相当な長生きです。リタイア後の夫婦の問題ですから、男女の中間をとって95歳まで生き延びる、という想定でこれを生存リスク年齢とします。
65歳から95歳まで生きるのには、現在の高齢夫婦の無職世帯の1か月の平均支出である28万円で平均的な生活をすると、1億80万円となります。これに、介護やリフォームなどの予備費を600万円加えると、1億680万円になります。これを仮に「平均的な老後の生活」としてみます。
一方、生命保険文化センターの意識調査では、「ゆとりある老後生活のための費用」を聞いたところ、その月額生活費はなんと35万円であり、旅行や趣味などの平均額を加えれば、支出は95歳までの生活費は1億3200万円にも上ってしまうのです。
この計算には、90歳になると75%が認知症になっている計算が含まれていません。医療と介護と福祉をくわえれば、2億円あっても足りないかもしれません。しかも、老人が増える分、若い人が減るのですから、介護の費用(現在の介護保険制度では1~2割が本人負担)が、3割負担やそれ以上になる可能性が高いです。
いったい老後にいくら残しておけば、現役世代である我々は安心できるのでしょう? それはどんな医療保険ですか? 癌保険に入っていればいいのですか? 三大疾患の保健に入っていいればいいのですか? それともどんな生命保険ですか? 定期保険がいいのか、養老保険がいいのか、それとも終身保険がいのでしょうか?
ズバリ、全く予測がつきません。なぜならば、これから突入する超々高齢社会は、人類が初めて体験する、しかも日本が最初に経験する、まさに未体験の状況だからです。