長生きすることがリスクに・・・日本の高齢者が抱える金銭問題

今回は、日本の高齢者が抱える金銭的な問題について見ていきます。※本連載は、医療問題アナリストで歯科医師の吉野敏明氏、経済評論家で公認会計士・税理士の田中肇氏、一般社団法人包括安心サポート研究所の代表理事・大和泰子氏の共著、『本当に正しい医療が、終活を変える 』(かざひの文庫)の中から一部を抜粋し、幸せな人生を終える人と、そうでない人の違いはどこにあるのかを探っていきます。

「お一人様」になる高齢者が増加

さて、終活の話に戻ります。終活とは、家族の問題、形見分けの問題、財産の問題、相続の問題、年金の問題、葬儀の問題、遺言の問題、お墓の問題などを、エンディングノートにつけることで整理し、専門化にアドバイスをもらいながら伴侶や家族が幸せに人生の終末を迎える活動です。

 

そのなかに、もちろん健康と医療の問題があります。とくに、男性と女性では平均寿命が10歳以上異なりますし、兄弟が昔と違って少ないですから、お一人様になる可能性がどんどん高くなります。

 

以前でしたら、「死んだあとは誰かがやってくれるだろう」「死んだ時のことなんて考えたくない」で済んだことが、これからはそうもいきません。このままでは、長生きしてしまうこと自体があらゆるリスクとなってしまいます。

 

ゆとりある老後生活のためには「月35万円」も必要!?

実際に何歳まで生きるのか、というリスクを考えてみましょう。

 

現在の平均寿命とは、0歳時の平均余命であり、これはあくまで「平均」です。当然、長生きする場合も十分あるわけです。数学的になりますが、いわゆる平均値±標準偏差1で占められる三分の二の範囲内の寿命計算ではリスク管理がちょっと甘すぎると思います。

 

ここでは、仮に四人に一人が生きている年齢、つまり25%の人が生きている可能性がある範囲内までを「生きている期間」と想定します。

 

この範囲内の寿命計算では(国立社会保障・人口問題研究所の予測)、2050年時点で男性は93歳、女性は98歳となります。相当な長生きです。リタイア後の夫婦の問題ですから、男女の中間をとって95歳まで生き延びる、という想定でこれを生存リスク年齢とします。

 

65歳から95歳まで生きるのには、現在の高齢夫婦の無職世帯の1か月の平均支出である28万円で平均的な生活をすると、1億80万円となります。これに、介護やリフォームなどの予備費を600万円加えると、1億680万円になります。これを仮に「平均的な老後の生活」としてみます。

 

一方、生命保険文化センターの意識調査では、「ゆとりある老後生活のための費用」を聞いたところ、その月額生活費はなんと35万円であり、旅行や趣味などの平均額を加えれば、支出は95歳までの生活費は1億3200万円にも上ってしまうのです。

 

この計算には、90歳になると75%が認知症になっている計算が含まれていません。医療と介護と福祉をくわえれば、2億円あっても足りないかもしれません。しかも、老人が増える分、若い人が減るのですから、介護の費用(現在の介護保険制度では1~2割が本人負担)が、3割負担やそれ以上になる可能性が高いです。

 

いったい老後にいくら残しておけば、現役世代である我々は安心できるのでしょう? それはどんな医療保険ですか? 癌保険に入っていればいいのですか? 三大疾患の保健に入っていいればいいのですか? それともどんな生命保険ですか? 定期保険がいいのか、養老保険がいいのか、それとも終身保険がいのでしょうか?

 

ズバリ、全く予測がつきません。なぜならば、これから突入する超々高齢社会は、人類が初めて体験する、しかも日本が最初に経験する、まさに未体験の状況だからです。

医療問題アナリスト
歯科医師・歯周病専門医・指導医
慶応大学医学部非常勤講師
歯学博士 

岡山大学卒。日本における、歯周病原細菌検査を用いた歯周治療の第一人者。平成26年、全身と口腔および東洋医学を包括した治療を行う誠敬会クリニック開設。同年、精神科病院の医療法人弥栄病院(病床280床)理事長に就任、精神と口腔を融合した治療を行う。著作の『口元美人化計画』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はAmazon美容外科部門1位を2度取得。平成27年、一般社団法人包括治療政策研究会理事長就任、平成28年、一般社団法人包括安心サポート研究所理事就任。

著者紹介

経済評論家
公認会計士
税理士
上場準備コンサルタント
事業再生コンサルタント
病院経営コンサルタント 

1957年生まれ。1981年中央大学卒、朝日監査法人(現あずさ監査法人)、三優監査法人、三優BDOコンサルティングを経て独立。主な著書に『ベンチャーマネジメントの変革』(日本経済新聞社 共著)、『やさしい原価計算の導入の仕方』(中経出版)、『寺院住職の為の会計と消費税』(日本法規)などがある。

著者紹介

一般社団法人包括安心サポート研究所 代表理事
株式会社WishLane 代表取締役 

終活アドバイザー、CFP(ファイナンシャルプランナー)、相続診断士などの資格を持つ。家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居の幸せ家族。これまでに独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送り、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思うに至る。5000人の保険コンサルティングの経験から、保険の「資金準備」だけではなく、生涯にわたる「お金」「こころ」「体」のトータルサポートの必要性を訴え、病気や介護になった時は家族代行の業務を行っている。

著者紹介

連載幸せに人生を終える「正しい終活」の進め方

本連載は、2016年9月22日刊行の書籍『本当に正しい医療が、終活を変える』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

本当に正しい医療が、終活を変える

本当に正しい医療が、終活を変える

吉野 敏明・田中 肇・大和 泰子

かざひの文庫

本書は終活のための本です。よい終活とは、遺書を書くことでも、墓石を選ぶ事でも、葬儀会社を選ぶことでもありません。保険を組み合わせることでもありません。健康な体と心をもち、心が最期の瞬間まで成長する。これによって…

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