日本でも年々増え続ける「有病率」
2000年から始まった介護保険。試行錯誤と改正をしながら現在で18年目を迎えています。
40歳から64歳までの方は、末期癌や関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、骨折を伴う骨粗鬆症、老期における認知症(アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体病等)、パーキンソン病関連疾患など、特定の12疾患で受給が可能ですが、これらの年代の方の受給率は非常に低く、僅か3%で、なんと65歳以上が97%です。
75歳では約3分の1の方が介護保険を受給しており、80歳以上では78%が受給しています。つまり、年齢が上がれば上がるほど、介護保険を受ける頻度が激増するわけです(下記の図表1参照)。
[図表1]年代別の推定認知症有病率
65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計15%で、2012年時点で約462万人もいることがわかり、認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています(厚生労働省研究班より)。
これを年代別に見ると、74歳までは10%以下ですが、85歳以上で40%超となり、90歳代では約75%、100歳を超えるとなんと97%に達しているのです。
国民の10人に一人が「タックス・イーター」
2016年7月27日に発表された、日本人の平均寿命(0歳時の平均余命)は、女性が87.05歳、男性は80.79歳で、いずれも過去最高を更新しました。
将来は平均寿命が90歳になると予測され(下記の図表2参照)、2050年では人口が1億人まで減少、65歳以上が2000万人、そのうち認知症が800万人、なんと10人のうち約1.3人が認知症という国になってしまうのです。
[図表2]平均寿命の推移と将来推計
これに加え、現在増えているうつ病も10年で倍のペースで増えており、うつ病を含めた気分障害の患者数は現在1000万人を超えています。
このペースでは、2050年では国民の8割である8000万人が気分障害患者となり、現在のうつ病の休職者数20万人から推定すると、2050年では200万人がうつ病で休職している計算になります。
休職する理由は他にいくらでもありますが、この200万人と認知症の800万人を足しただけでも1000万人、国民の10人に一人がタックス・イーター(支払う税金より、受けるサービスのほうが多い人)といわれる状態になってしまいます。