創業者一族が企業を「独占」してはいけない理由

今回は、創業者一族が企業を「独占」してはいけない理由を見ていきます。※本連載は、医療問題アナリストで歯科医師の吉野敏明氏、経済評論家で公認会計士・税理士の田中肇氏、一般社団法人包括安心サポート研究所の代表理事・大和泰子氏の共著、『本当に正しい医療が、終活を変える 』(かざひの文庫)の中から一部を抜粋し、幸せな人生を終える人と、そうでない人の違いはどこにあるのかを探っていきます。

ワンマン経営であるほど、早く後継者をたてるべき

前回に引き続き、3人の子供がいる創業者Oさんのケースを見ていきましょう。

 

どんなに元気な人であっても、亡くならない方はいません。このように、ワンマン経営であればあるほど、後継者を早くたてることが重要です。

 

本書籍の前章で示している、幸せの6つの条件を検証してみましょう。6つの条件とは、①家庭、②職業と経済、③社会と文化面、④精神と倫理面、⑤教養と倫理面、そして⑥心身の健康でした。

 

Oさんの生前は①に問題はありませんでした。3人仲良くしていたのです。収入も安定し、人間と社会の接点である仕事も順調でしたから②も③も問題ありませんでした。

 

さて、ここでみなさんに中学の理科で習った、『ドべネックの桶』を思い出してもらいましょう。人間に必要な栄養素には、タンパク質、炭水化物、脂肪があります。しかし、これらだけを過不足なくとっていても、人間は死んでしまいます。そのほかにも、人間にはカルシウムやマグネシウムなど、必要な微量栄養素が必要なのです。

 

これらはバランスよく全て必要なだけ摂取していないと、必ず健康を害します。最悪の場合、死亡することすらあります。

 

つまり、この桶の板が一枚でも低いところにあると、その一番低いレベルで健康を害すのです。他の板がどんなに高くでもダメ。一番低いところで健康が決まってしまいます(以下図表参照)。

 

 

同様に、幸せの6つの要素のどれか一つが欠けていても、幸せにはなりません。我々が今アドバイスをするとすれば、Oさんには④と⑤と⑥に問題がありました。

創業者一族が企業を独占すれば、必ず「もめ事」が…

まず、④精神と倫理面です。企業とは誰のものでしょう? もちろん、創業者一族は、企業にとっての創始者です。日本でいえば、創業者一族は天皇と皇族です。そして、経営者は内閣であり、最高責任者は内閣総理大臣です。

 

我々は、医療従事者の経営のコンサルをしています。そこで、常にアドバイスをするのは、「病院・医院(会社)を創業者一族のものにしてはならない。働く従業員があっての病院・医院である」ということです。

 

創業者一族が企業を独占すると、必ずもめ事になり、どんな巨大企業でも、一見安定してみえますが一瞬にして倒産してしまいます。

 

良い例が、ダイエーが創業者の中内一族の内紛で倒産したのは有名ですし、一方ホンダは、創業者の本田宗一郎が絶対に後継者には、本田家の血を入れない、と宣言したのも有名です。

 

近い例では、大塚家具の親子の御家騒動、出光の創業者一族と経営者の昭和シェル石油との合併騒動もそうです。地方の盟主といわれた岡山県の株式会社林原がそうです。2011年に経営破綻した林原も典型的な“同族経営の失敗”と見なされたケースです。

 

同社は岡山市を拠点に、医薬・食品原料を開発している1833年創業のバイオ企業で、インターフェロンなど林原が世界で初めて量産に成功した国際的な企業でしたが、兄弟の内紛で2011年に倒産してしまいました。

 

一方、同族経営で長く行ってきたサントリーが、経営改革として株式会社に転じ、しかもローソンの経営トップを12年間務めた新浪剛史に決まったと発表されたことは激震でした。サントリーが創業家以外から社長を迎えるのは、1899年に鳥井商店として創業して以来、初めてのことです。社長の外部登用には、社内に新風を吹きこみ、世界戦略を加速する必要からでした。

 

同じような例として、2009年に初めて外部から経営者を招いたカルビーなど、近年になって同族経営から脱却を図る企業は目立ちます。

 

どんな小さな中小・零細企業であっても、現代の国際化した社会のルールでは、同族経営はいずれ破綻することがわかっています。

 

経営コンサルの立場から言わせていただくと、倒産の主な理由はそのほとんどが内部要因であり、とくに中小企業では為替の変動やリーマンショックなどの国際情勢の変化、あるいは大規模災害などの外部要因による倒産例は、ほとんどあげられません。

 

この話は次回に続きます。

医療問題アナリスト
歯科医師・歯周病専門医・指導医
慶応大学医学部非常勤講師
歯学博士 

岡山大学卒。日本における、歯周病原細菌検査を用いた歯周治療の第一人者。平成26年、全身と口腔および東洋医学を包括した治療を行う誠敬会クリニック開設。同年、精神科病院の医療法人弥栄病院(病床280床)理事長に就任、精神と口腔を融合した治療を行う。著作の『口元美人化計画』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はAmazon美容外科部門1位を2度取得。平成27年、一般社団法人包括治療政策研究会理事長就任、平成28年、一般社団法人包括安心サポート研究所理事就任。

著者紹介

経済評論家
公認会計士
税理士
上場準備コンサルタント
事業再生コンサルタント
病院経営コンサルタント 

1957年生まれ。1981年中央大学卒、朝日監査法人(現あずさ監査法人)、三優監査法人、三優BDOコンサルティングを経て独立。主な著書に『ベンチャーマネジメントの変革』(日本経済新聞社 共著)、『やさしい原価計算の導入の仕方』(中経出版)、『寺院住職の為の会計と消費税』(日本法規)などがある。

著者紹介

一般社団法人包括安心サポート研究所 代表理事
株式会社WishLane 代表取締役 

終活アドバイザー、CFP(ファイナンシャルプランナー)、相続診断士などの資格を持つ。家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居の幸せ家族。これまでに独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送り、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思うに至る。5000人の保険コンサルティングの経験から、保険の「資金準備」だけではなく、生涯にわたる「お金」「こころ」「体」のトータルサポートの必要性を訴え、病気や介護になった時は家族代行の業務を行っている。

著者紹介

連載幸せに人生を終える「正しい終活」の進め方

本連載は、2016年9月22日刊行の書籍『本当に正しい医療が、終活を変える』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本当に正しい医療が、終活を変える

本当に正しい医療が、終活を変える

吉野 敏明・田中 肇・大和 泰子

かざひの文庫

本書は終活のための本です。よい終活とは、遺書を書くことでも、墓石を選ぶ事でも、葬儀会社を選ぶことでもありません。保険を組み合わせることでもありません。健康な体と心をもち、心が最期の瞬間まで成長する。これによって…

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