現状「毎月6兆円」購入しているが…国債買い入れ減額方針の日銀、今後1~2年の“ビジョン”は【マクロストラテジストの見解】

現状「毎月6兆円」購入しているが…国債買い入れ減額方針の日銀、今後1~2年の“ビジョン”は【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

国債買い入れを毎月6兆円未満に減らすと「量的引き締め」に

重要な点として、日銀が保有する国債は現在、毎月平均6兆円程度が償還されているため、日銀が国債購入金額を毎月平均6兆円未満に減らすと、日銀のバランスシート(総資産)は、国債が償還される分だけ(→正確には、日銀の国債購入金額マイナス日銀保有国債のうち償還される金額)、減っていきます。

 

日銀のバランスシートを考えると、国債という資産が償還(や市中売却)で減るときの、負債の見合いは当座預金です。

 

当座預金は、市中銀行による日銀預け金であり、市中銀行にとっての流動性です。 当座預金が減るということは、市中銀行から流動性を吸収するということであり、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在、行っているのと同じ「量的引き締め(QT)」に相当します。

 

日銀とFRBは表現方法が異なるために(少なくとも筆者には)わかりにくいですが、日銀をFRBの動きになぞらえていえば、日銀は、すでに①量的金融緩和(QE)や、②その最終局面であるテーパリング(量的金融緩和による国債買い入れの縮小)を終えており、現在は③国債保有残高を維持している局面です。

 

毎月6兆円程度の国債を買っているとはいえ、それは残高を維持するためです。そして、これから、④量的引き締めに向かうところです。

 

FRBの場合、2022年3月から利上げを開始し、同年6月から量的引き締めを開始しています。この「バランスシートの差が、円安につながっている」との指摘があることも、日銀を量的引き締めに向かわせた要因とみられます(→いわゆるソロス・チャートの議論)。

 

[図表7]ドル円レートと日米の流動性比率
[図表7]ドル円レートと日米の流動性比率

 

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