ワンルームマンション投資は「負債」になるケースも
最近、30代前後の上場企業会社員の方で、区分所有のマンションを投資用物件として購入する人が増えています。なぜなら、多くの不動産業者にとって、ワンルームマンションがいちばん販売しやすいからです。
裏を返せば、多くの不動産業者が売りたい物件・売りやすい物件とは、業者にとって都合が良い物件です。本当に残念なことですが、購入者が赤字物件をつかまされて、大損するケースが多く発生しています。
よくあるモデルケースで考えてみましょう。ある会社員が物件価格2,000万円の都内ワンルームを頭金300万円、残金1,700万円を銀行ローンで借り入れて購入したとします。月8万円の家賃収入がある場合、年収は96万円になります。
しかし、ここで大切なのは、実際に自分の手元に残るキャッシュの金額です。実際には、ローン返済に加えて、不動産管理費や修繕費などの経費が加わってきます。
実際に8万円の家賃収入があっても、諸経費を合計すると、8万円を超える支出になる場合もあります。都内ワンルームでは赤字になることも多く、月5,000円でも黒字になっているなら良い方でしょう。
冷静に考えて計算して頂けたらわかるのですが、毎月8万円の家賃をもらっても、毎月9万円の経費がかかっていたら、毎月マイナス1万円です。不動産業者のよく使うセールストークは、「年収が100万円アップしています」「副業の損失は節税になります」「不動産は安定収入が得られる資産です」などです。
確かに年収は100万円アップしたとしても、110万円支出を生み出したら、ただの赤字です。残念ながら、何も知らない人が不動産業者のセールストークの被害者になっています。
「不動産オーナーになれば、資産家の仲間入りだ」と得した気分になり、毎月赤字の「負債不動産」を購入するケースが後を絶たないのです。
大切なのは実際に手元に残る毎月のキャッシュです。毎月のキャッシュが赤字になるワンルーム物件を購入することは、実は負債を購入しているのと同じです。ぜひ、「本当の資産とは何なのか?」とあらためて問いかけて欲しいと思います。
そもそも、資産とはお金を生み出してくれるものであるべきです。毎月赤字だと、精神的な負担も大きくなります。
極めつけは、不動産ローンを引くときに基本的にセットで加入する「団体信用保険」(万が一ローン債務者が死亡したりがんになった際に、借金がゼロになるもの)を利用し、「がんになればローン完済できますよ」と平気で言う業者も登場しています。
確かに二人に一人ががんになる時代とは言われますが、がんになるために不動産投資をするのですか? このようなコンプライアンス的に大きな問題がある悪徳業者も存在します。
また、不動産を1件購入した人は、3件は購入するといわれています。私の耳に入る最悪のケースは、3件の負債不動産を抱えてしまい、借金返済で首が回らなくなる人です。最終的には、不動産を売るに売れなくなり、泣き寝入りするパターンです。
本当にそのワンルーム投資でキャッシュが残るかどうかを、ご自身で計算してみて下さい。業者の言うことを精査した上で、ご自身が納得した物件だけを購入してください。これ以上、不動産業者のセールストークに翻弄される被害者を増やしたくないのです。
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