国全体が成長しているフィリピンの不動産購入には大きなチャンスがあると話すのは、海外不動産投資に詳しい町田健登氏です。なかでも、住民のトラブル対応などの管理が不要、オーナーが客付けする必要がない、管理と集客をしてくれる運営会社を選んでおけば丸投げで利益が上がるといった点から、ホテル投資をおすすめしています。しかし海外の不動産の場合、知っておきたいのが「政治的リスク」や「自然災害リスク」です。そこで本記事では、町田氏の著書『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)より一部抜粋し、それぞれのリスクについてご紹介していきます。

「政治的リスク」は「観光地」で勃発する

私がおすすめする「フィリピンホテル投資」で失敗しないためには、政治的リスクを考えておくことが大切です。実際に、ボラカイ島で起こった事例で説明しましょう。

 

ボラカイ島は世界トップ10のビーチに選ばれたエメラルドの砂浜がある人気リゾート地です。フィリピン現地だとセブ島よりも人気があります。

 

そのボラカイ島にホテルコンド(投資可能なホテル型のコンドミニアム)が数多く立っています。以前から、ホテルコンドは利回りが得られるのと、オーナーは無料で宿泊できる特典があり、別荘として人気がありました。

 

ボラカイ島のホテルが自分のものになったという優越感もあるし、別荘として所有する人が多かったのです。ところが、2018年4月26日、当時のドゥテルテ大統領が急にボラカイ島を半年間封鎖するという事件が起こりました。

 

理由は、環境美化です。ボラカイ島は以前はゴミもない綺麗な島だったのですが、ホテルや外食産業がこぞって進出した結果、ゴミだらけになってしまったのです。このような惨状にドゥテルテ前大統領が怒り、「国際的にも人気のボラカイ島がこのような環境ではダメだ」と環境美化が進むまではホテルも飲食店も半年間営業停止を決めました。

 

もちろん、島民は全員が反対の声を上げましたが、状況は変わりませんでした。ボラカイ島でダイビングショップを経営する私の友人の話では、本当に急に決まったので補助金なども出なくて全損だったそうです。

 

島では3万6,000人が職を失い、経済損失は約400億円に上ったと推定されました。これは、完全に政治リスクとしか言いようがない事件です。

 

現在のフィリピンでは環境美化や脱炭素に本気で取り組んでいるため、日本では信じられないような意思決定があることも事実です。そういう意味では、同じようなことが起こる可能性はゼロではありません。

 

そう考えると、観光需要だけのエリアのホテルは避けた方がいいでしょう。できたらやはり、マニラ近郊、セブ、などの観光とビジネスが両方狙えるエリアが良いです。

 

もちろん、今回のような事件が起こったのはボラカイ島だけです。そう何度も起きないとは思いますが、政治的リスクを考えると、離島の物件はやめておいた方がいいかもしれません。万が一、観光需要がなくなったとしても、ビジネスの出張での需要がある立地のホテルなら、つぶしが利きます。

 

次ページ「自然災害リスク」はこうして避けよう

※本連載は、町田健登氏の著書『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~

フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~

町田 健登

ビジネス教育出版社

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