(※写真はイメージです/PIXTA)

投資している株価が下落しているときは一体どうしたらいいのでしょうか? 足立公認会計士事務所代表の足立武志氏は、著書『お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書』の中で「乗り切るためには4つの手法がある」と主張しています。一体それはどんなものでしょうか? 手法を本書から紹介します。

下落相場を乗り切るためには4つの手法がある

株価の下落が続く下落相場では、具体的にどのように戦えばよいのかを考えてみましょう。


1:空売り

個別銘柄の株価を見ると、銘柄により値動きが大きく異なっていることが分かるはずです。年間を通して上昇した銘柄もあれば、逆にほぼ1年中下落を続けた銘柄もあります。下落相場になれば、株価が下がる銘柄の方が圧倒的に多くなります。株価がさらに下落しやすい下降トレンドの状態にある株を空売りし、値下がりしたら買い戻すことで利益を得ることができます。


筆者は、上昇トレンドの銘柄を買う一方で下降トレンドの銘柄を空売りするという「ロング・ショート戦略」を使っています。強い銘柄を買い、弱い銘柄を売ることで、日本株が値上がりしても値下がりしても利益を得られるようにしているのです。


●ロング・ショート戦略 上昇傾向にある株を買って、下落傾向にある株を売ったり、IT関連株を買って運輸関連株を売るなど、単に買うだけでなく、買いと空売りの両方を駆使することで利益を得ようとする株式投資の売買戦略のこと。投資用語で「ロング」は買い、「ショート」は売りを意味します。


2:ベア型のETF(上場投資信託)

ベア型のETFとは、例えば、日経平均株価が値下がりすると逆に価格が上昇するという性質を持ったETFです。日経平均株価が下降トレンドであれば、そこからさらに価格が値下がりする可能性が高いといえますので、ベア型のETFを買うことで利益を狙うのです。


●ベア型のETF 投資用語で「ベア」は弱気、「ブル」は強気を意味します。株式市場には、全体相場の値動きと同じだけ(もしくは2倍、3倍)、反対方向に動くように設計されたベア型のETFがあります。「インバース型ETF」とも呼ばれる、こうしたETFを買うと、全体相場が下落している時に逆に値上がりするので、下げ相場で利益を上げることができます。

 

3:攻守の切り替えができる「ポジション管理」

下落相場では、当然ながら多くの銘柄の株価が下落してしまいます。下落している時に買った株は下落が続いている限り利益を出すこと自体、物理的に不可能です。そうした時に、「何としても利益を上げたい!」と無理をすると、株価の大きな下落によって逆に致命的な損失を出してしまいかねません。


ですからポジション管理、言い換えれば攻め時と守り時の切り替えがとても重要になります。上昇トレンドにある銘柄が多い時は攻め時、下降トレンドにある銘柄が多い時は守り時です。投資可能な資金を100とすれば、攻め時なら70、80、90……と株式への実際の投資額を多くしていきます。守り時なら30、20、10……と、株式への投資額を減らしてキャッシュを増やす、というイメージです。


4:利益確定のタイミング

下落相場でも、株価が上昇しないわけではありません。しかし上昇相場とは異なり上昇の大きさも小さく、上昇の期間も短くなります。したがって、利益を大きく伸ばそうとするよりも、ある程度株価が上昇したらこまめに売却して利益確定をした方がよい結果を生むことが多いです。

 

実は筆者は、この4点目の「利益確定のタイミング」についてはあまり実践していません。自分のルール通り、25日移動平均線を割り込んだら保有株は売却、としています。下落相場での多少の損失は覚悟しつつ、上昇相場でできるだけ大きな利益を狙うことを最優先にしているからです。

 

上昇相場ではこのルールにより実際に大きな利益を得ることが可能です。でも下落相場では、25日移動平均線を割り込むまで保有していると、せっかくの利益がなくなってしまうどころか、損切りとなるケースも少なくないのです。そもそも下落相場では利益が伸びにくいので、利益を伸ばすよりもこまめに売却することが投資成果の向上につながります。

次ページベア型ETFの注意点

※本連載は、足立武志氏による著書『お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集したものです。

お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書

お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書

足立 武志

扶桑社

楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で人気連載を持つ著者が伝授。 投資でお金をしっかり増やせる人になるために、新NISAが始まったいまだからこそ読みたい株式投資の教科書。 2024年2月22日、日経平均株価がそれまで…

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