フィッチ、フィリピン格付け「BBB」据え置き…「A」引上げのための課題は?

6月17日週「最新・フィリピン」ニュース

フィッチ、フィリピン格付け「BBB」据え置き…「A」引上げのための課題は?
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は国際金融の中で大きな役割を持つフィッチによる格付けについてみていきます。

2028年までに格付け「A」引上げを目標にしているが

フィリピンでは、2019年、財務省とフィリピン中央銀行は「A信用格付けへの道筋アジェンダ」のための省庁間委員会を組織。2028年のマルコス政権の終わりまでに「A」レベルの格付けを達成することを目標としています。

 

先日、フィリピンのレクト財務長官は、フィッチ・レーティングスが同国の長期外貨国債格付けを「BBB」に据え置き、見通しを「安定的」と維持したことを受けて、フィリピンが「A」格付けを達成する目標に向けて順調に進んでいると述べました。

 

フィッチは6月7日、フィリピンの「BBB」投資適格格付けを確認し、「安定的」な見通しを維持しました。「BBB」格付けはデフォルトリスクが低く、経済が債務を返済する能力が十分であることを示しています。一方、「安定的」な見通しは、格付けが今後18~24ヵ月間で下げられることはなく、維持される可能性が高いことを意味します。

 

このような判断をしたことに対してフィッチは、フィリピンの強力な中期的成長が政府の債務対GDP比の中期的な緩やかな減少を支援し、経済規模が「BBB」の他国と比較して大きいことを理由に挙げています。一方で、一人当たりGDPが低いことや、ガバナンス基準が「BBB」の他国よりも低いことを指摘。同国の課題になっています。

 

フィリピン経済は第1四半期に5.7%成長し、前四半期の5.5%を上回りました。政府は今年の成長率を6~7%と見込んでいますが、フィッチは今年のフィリピンGDP成長率を5.8%と予測しています。またインフラへの大規模な投資や貿易と投資を促進する改革(官民連携(PPP)を含む)によって、中期的には実質GDP成長率が6%以上になると予測。これは「BBB」の中央値である3%を大きく上回ります。また今年の平均インフレ率を3.8%と予測しており、これは政府の2~4%の目標範囲内ですが、中央銀行の年間予測である3.5%を上回ります。

 

フィッチがパンデミック時にも格付けを維持したことは、フィリピンの経済および信用の基礎が改善されたこと、近年の財政パフォーマンスの改善がより多くの国際投資や国際的な信用を引き付けるのに役立つとみられています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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