美味しい投資話には一つだけ「例外」がある
○美味しい投資話には裏がある(国策に例外あり)
日本もついに資産運用の時代に入ったと思われるが、今後ますます投資話が自身の周りに巡ってくるだろう。一昔前は海外通貨、海外不動産、今なら暗号資産関連だろう。
詐欺話もあれば、投資対象自体は実在のものだったが、結果として大損するケースもあるだろう。エンジェル投資も「出資」したはいいが、実際にIPOやバイアウトで出口を迎えることができるのはごく僅かである。
このような投資話を吟味して正しい判断を下すために一つの判断基準を持っていたい。それは「長期国債以上に儲かる話か否か」という視点である。
日本の長期国債である10年債の利回りは0.7%(3月下旬時点)。これよりもプラスして5%以上高い利回りを出すような投資話は危ないと考えていいだろう。詐欺をする側からすれば「年利3%の投資なので投資してください!」と言ったところで、「美味しい話」にはならないのでカモが集まらない。
しかし「月利3%、年利36%の投資です!」と言われると、信用できなくてもちょっと投資しようか…と揺らいでしまう。なので法外な金利を出すところには簡単には投資しないということが肝要。その基準が長期国債にプラスすること5%以上か否か、だと考える。(そもそもこのような本を手に取った読者の方はだまされる心配はないのであろうが。)
ただし、美味しい投資話には一つ例外がある。それは国策である。国策に乗っかった投資が儲かるのは事実。例えば2011年グリーン投資減税があったときの太陽光発電の投資。太陽光というとなんだかインチキ臭い印象を持たれる方も多いが、実際これは儲かった時代があった。現在進行形の話ではなく、あくまで「終わった話」ではあるが、国策は儲かるということの事例として紹介したい。
2011年の東日本大震災時に脱原発を民主党政権が掲げた。当時の菅直人首相がソフトバンクの孫正義からのアドバイスを受け、太陽光投資に関して即時償却(要は投資した金額がすべて損金になる)かつ、同時期に太陽光発電などの再生エネルギーに関して20年間固定の値段で電力会社が買い取るというFITを制定した。
これによって、太陽光投資は富裕層や儲かっている企業に大きく広がったわけだが、これにいち早く投資した人たちは相当儲かった。利回りで年間15%前後。例えば一億円の太陽光発電所に投資すると年間1500万円前後の売電収入が東京電力から入ってくる。
6年強でペイするわけで、元本は戻ってこないが(20年間買い取ってくれるがその後は続けるか、設備そのものを廃棄するかの二択)、不動産と比べるとメリットが大きい投資であった。不動産よりも賃借人リスクが低い。賃借人に相当するのが電力会社と太陽なので、とりっぱぐれがないからである。
しかも法律で太陽光などの再生可能エネルギーにより発電した電気は高値で固定されて20年間買取し続けることが定められていたためである。このような条件で投資しない理由はない。実際、日本の大手商社や欧米の外資もこぞって参入した。
固定買取の値段は当時1キロワット当たり40円前後。海外では売電収入がキロワット当たり10円前後だった国も多かったので大盤振る舞いであった。実際の電気代としては当時キロワット当たり当時25円前後だったため、投資家にとって破格の政策だったわけだ。25円だったものをわざわざ法整備までして40円で買い取ってくれるのだ。このような国策に乗らないのは損だということである。
「太陽光=なんか怪しい」といって投資をしなかった人も多かったが、先入観で損をした。きちんと国の動きを見て、「それが本当かどうかファクトチェックをし、陳腐化する前に投資をする変わり身の早さが投資には重要と考える。ちなみに今の太陽光投資に関しては現時点では大きなメリットはない。