(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層に関するお金の問題解決にあたってきた江幡吉昭氏の新著『インフレ時代の投資術』(出版社名)より、著者の承諾を得て、いくつか内容を抜粋しご紹介していきます。本記事は第三段です。

「太陽光投資の再来」になりうるもの

このような太陽光投資の再来になるのではないかと個人的に考えているものがある。それが株式投資である。

 

なぜ株式投資が国策になりうるのか。それはコストプッシュインフレから始まるインフレの萌芽によりいよいよ30年に続いたデフレ脱却の芽が出ていることによる。政府や日本銀行はこのチャンスを逃すとデフレが再度続くこと、日本病の継続を恐れているため、様々な方向からこの脱デフレの外堀は埋まりつつあると考える。

 

まず第一に東証のPBR1倍割れ解消のアナウンスである。証券取引所が企業に対してそのような前代未聞の要請をするという異常さを考えるとその本気度も推して知るべし。

 

第二にウクライナ戦争を機に中国やロシアなどの権威主義国家から日本への工場移転が進みつつある。製造業の国内回帰である。もちろんこれらの問題は様々な問題があり一筋縄にはいかないがTMSCの熊本工場など世界の工場の日本回帰による産業の空洞化の解消が進む。

 

そして第三に貯蓄から投資へアクセルを踏む、新NISA(とiDeCo)である。もともとNISA自体は年間一00万前後の「やってもやらなくてもどちらでもいいような小額」であったものが、今回の新NISAでは最大1800万まで枠が拡大され、年間最大360万投資することができるようになる。従来の制度に比べて魅力的なものになった。

 

第四に歴史的な円安と原材料高である。円安になることで多くの輸入品の値段が上がる。そうすると当然のことながら物価が高くなりインフレ=円の価値の減価は否応でも意識される。当然、なにかしらの投資をしなければどんどん目減りするのは自明。

 

また1990年代のバブル崩壊の記憶が鮮明に残っているのが今の50代以上の世代だとすると、今の消費の世代である40代以下はバブルの痛み自体を経験していないため、それほど大きく投資=バブル崩壊=損をするもの、という投資に関するネガティブイメージもなく、投資に第一歩を踏み出すには抵抗のない世代と言えるだろう。

 

このような複合要因がほぼ同時期に重なることで今回の脱デフレのタイミングは最後に政府・日銀が背中を押すことでデフレ脱却となると考える。事実、2024年3月にマイナス金利の解消とYCC※の取りやめが日銀の政策変更が決定された。

 

※YCCとはイールドカーブコントロールの略。金利を一定の水準にするために、中央銀行が国債やその他の金融資産を購入する金融政策。

 

○金融機関は運用のプロではなく、商品販売のプロ

 

このようなインフレ下に何で投資をすればいいのだろうか? 自分で勉強するのも大変だし、どこまで効果があるのかは疑問である。そこで、多くの方はアクセスしやすい金融機関に相談しようと思われる方が多いと思う。

 

しかし、読者の方に注意してほしいのが、銀行や証券会社は資産運用のプロではなく、商品販売のプロだということだ。彼らはインサイダー取引の規制などがあり、積極的に証券投資ができない。

 

さらにインサイダー取引規制以外にも、金融機関内部の独自規制が別に存在している。NISAやiDeCo以外の運用には、上司の承認が必要だったり、かなり面倒な状況になっており、アクティブな資産運用をそもそもしていない人も多い。

 

つまり、NISAやiDeCoなど毎月積み立てインデックス投資をしている程度であるわけだ。つまり皆さんと同様の投資経験ということである。

 

例えば、皆さんが魚屋に行って、「今日のいい魚何?」と聞いても「いや~、私自身、魚をあまり食べちゃいけないのでわからないです。私自身は魚わかりませんが、店からはこれを勧めろと言われています」という状況なのである。

 

資産運用のプロではないが、商品販売の売り方のトレーニングやロールプレイングをしっかりやっている商品販売のプロということなのだ。説明は上手。しかし本当のところは魚を食べたことがない、好きではない人がやっているということになっている。

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