販売手数料を稼ぐため…金融庁が問題視する銀行の「販売手法」
また、金融業界は基本的に毎月のノルマが重く。どうしてもお客様に動いてもらわないと手数料が発生しない業界である。今は預かり資産営業にシフトしつつあるが、それでもその色合いは強く残る。社風や業界風土は何十年も短期売買・回転売買の風土が長く、そう簡単にその風土が治るものではない。
実際、私が相談者のポートフォリオを見ていると感じるのは2022年以降、普通に投資すれば3-40%儲かっているはずなのであるが(実際私自身の証券投資のポートフォリオは40%増となっている)、対人営業の証券会社と取引している方はほぼ儲かっていない方が多い。全国規模の証券会社は営業マンも多く抱えているため、担当者はお客様に損をさせたとしても、異動させれば済むというのも構造的な問題だろう。
「前任の担当者はお客様に損をさせて申し訳ありませんでした、新担当者の僕は頑張ります!」という体だ。実際リーマンショック後には大きな人事異動が各証券会社であった。
よってお客様に生涯寄り添ってくれる相手かどうかが制度的に担保されているのかどうかが重要なポイントだろう。実際2024年の4月、金融庁が銀行の外貨建て保険の販売手法を問題視しているという報道がされた。
「金融庁は3日、外貨建て保険の販売で購入から4年間で約6割が解約しているとの調査結果を発表した。解約後に同じような保険商品に乗り換えさせて販売手数料を稼いでいる実態を問題視。改善を求めた。銀行各行は窓口での保険販売で対応を迫られる。」
という内容である。本来外貨建ての保険商品は10年以上保有する目的の商品であるが、最近の円安傾向で「少し儲かりましたから売りましょう」と言って現金化させた後、「儲かるからもう一回やりましょう」ということで販売手数料を稼いでいるのだ。以前の投資信託の乗り換え営業と全く同じ構造であり、どの金融機関も「顧客重視」や「資産形成長期投資」を標ぼうしているが、本音と建て前は異なるということである。
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本記事では、9箇条のうち7、8つ目をご紹介しました。