フィリピン「第2四半期経済成長率」、予想を超える5.9%
フィリピンの大手投資会社(FMIC)とアジア太平洋大学(UA&P)は、合同で発表したレポート「ザ・マーケット・コール」の中で、政府支出の増加により4月~6月期(第2四半期)の経済成長率は5.9%と加速し、年間成長率は目標の6%に到達する可能性があると予測しています。
第2四半期のGDP成長率が5.9%に達した場合、前年同期の4.3%や、第1四半期の5.7%を上回るペースとなります。フィリピン統計局は8月8日に第2四半期のGDPデータを発表する予定です。
FMICとUA&Pが予想する年間成長率6%は、政府が掲げる6~7%の成長率目標の下限にあたります。レポートでは、第2四半期から始まる加速が2024年を通じて続くという楽観的な見方をしています。これは、雇用者数の増加、政府の財政余地拡大による支出の加速、特にインフラへの投資拡大、製造業の生産額の回復、エルニーニョ現象による農業の悪化からの改善などを根拠としています。
なお、政府は当初6.1%の平均成長率を想定していましたが、第1四半期の成長率が伸び悩んだことを受け、達成するためには残りの3四半期で平均6.1%の成長が必要になるとの見解を示しています。
また、フィリピン中央銀行(BSP)が第3四半期に25ベーシスポイントの利下げを実施した場合、内需が拡大すると予想しています。BSPは今月初め、政策金利を17年ぶりの高水準である6.5%に据え置きました(5回連続の据え置き)。しかし、8月までの利下げを示唆しています。7月にはインフレ率が中央銀行の目標レンジ(2~4%)の上限に達する可能性があるものの、米の価格と原油価格の下落により8月にはやや落ち着き、3%程度になると予想しています。
一方で、貿易赤字の拡大と米ドル高の影響で、7月から9月にかけてペソはさらなる下押し圧力にさらされる可能性があると指摘しています。ペソは6月5日に1ドル当たり58.42ペソで取引を終えました。これは、2022年11月7日の58.58ペソ以来、1年半以上ぶりの安値となっています。4月は債券や株式への投資意欲が低かったものの、5月の回復は、8月のBSPによる政策金利の引き下げ期待と、第1四半期の予想を上回る企業収益が下半期の好調さを示唆しているとみられています。