面談者側は基本的に口をはさまず耳を傾ける
目指すべき「必要粗利益額」「利益率」、そして向こう3カ年の「経営計画」と「営業戦略」がまとまったら、「全社員との面談」を実施する。
この社員面談の一番の目的は、会社の真の現状を把握することだ。会社における問題は、経営者が思っている部分とは違うケースが圧倒的に多い。
面談では、社員が話しやすい雰囲気をつくり、基本的に面談者側は口をはさまず耳を傾ける。多くの経営者はたまに社員と話をしても、持論を強く展開し、相手を論破してしまう。そうすると社員は心を閉ざし、その後、経営者に提案することや、相談することを諦めてしまう。
社員面談は、できるだけ社員の本音を語らせる意識で臨み、話を素直に聞く姿勢を貫くようにしたい。
社員面談での意見を総合していくと、現在の問題点だけでなく、今後どのようにその問題に対処していけばいいかの答えが70〜80%は出てくる。
特に注意して聞かなければならないのが、他の社員について(主に管理職以上)の評価だ。
私の経験では、経営者が信頼している幹部社員に対する評価が、経営者が思ってもいなかった程に低いことが多い。社員からの信頼がまったくない管理職については、その後の配置転換や場合によっては退職勧告が不可欠である。
【図表 全社員との面談の目的】
軽んじてはいけない女性社員やパート社員の意見
組織改革のカギを握る抜擢人事に関しても、この面談によって気付かされることが多い。先程とは逆に、他の社員からの信頼が厚い社員が必ずいる。加えて、思ってもいなかった社員がしっかりとした考え方や意見を持っていたりすることがある。そういった人材を要職に据えるだけで組織がスムーズに回りだすことが非常に多い。
この点については、女性社員やパート社員の意見を軽んじてはいけない。女性社員を含むいわゆる間接部門の社員は普段、誰がどのようなことをしていて、皆からどう思われているかなど、すべて見ている。
極端な言い方をすれば、会社の抜擢人事や降格人事は彼女たちの意見を参考にしていいくらいだ。