「社内における基本ルール」を公表する
向こう3カ年の「経営計画」と「組織改革」の骨子がまとまったら、社員にきちんと会社の方向性を説明する機会として「社員説明会」を行う。時間は内容にもよるが、質疑応答時間も含めて2時間程度はかかるだろう。また、できれば全社員を集めて行うのが望ましいが、社員数が多ければ部門別に行ってもいいだろう。
内容は、経営トップ自身の口から会社の厳しい現状を正直に話すとともに、思い切った経営改善に乗り出す覚悟、そして組織改革などの方向性について説明するのである。
そこには「粗利益額」や「利益率」の目標数値が入っている必要があるし、新たに導入したり整備する社内の制度や仕組みについても含まれるだろう。それらを「社内における基本ルール」などとして公表する。
ただし、よく聞かれる社員の不満は、「これをやれ、あれをやれと言われているが、それを達成したら自分たちがどうなるのかが分からない」ということだ。
普通、人は目標数字だけ与えられてもやる気は起こらない。その数字の根拠は何か、それをクリアしたらどうなるのか、自分たちにどんなメリットがあるのか、具体的に理解してもらうことが必要である。
当初は「そんなのできっこない」などの反発も出てくるかもしれない。しかし、必ずやるということを強調する。
社長は皆で目標に向かう意味をはっきりと伝える
経営者のなかには、社員の前で話をするとき、なぜそんなに偉そうな言い方をするのだろうと思う人が少なからずいる。会社の状態が良くないのは、結局は経営者の責任である。そこは素直に受け止め、社員説明会ではむしろ殊勝な気持ちで接してみてはどうだろうか。
「今までの自分は間違っていた」「改めて、これからみんな付いてきてほしい」と素直な気持ちで言う経営者に対して、罵声を浴びせる人などいないはずだ(いるとすれば、それは問題社員である)。
また、話をするときにはやみくもに会社の状況に対しての不安を煽るのではなく、「よし、会社のために頑張ろう」という気持ちを社員に持ってもらうことが大切である。
経営計画で目標となる、「必要粗利益額」の中には社員の待遇改善の賞与支給の分も含まれている。皆で目標を目指す意味をはっきりと伝えれば、きっとその思いは社員に伝わるはずだ。
【図表 社内における基本ルール(サンプル)】