捜査網をかいくぐり逃げ続けること50年…特別指名手配犯の意外な最後に「それは勝利といえるのか?」【事件に詳しい元新聞記者が解説】

捜査網をかいくぐり逃げ続けること50年…特別指名手配犯の意外な最後に「それは勝利といえるのか?」【事件に詳しい元新聞記者が解説】

指名手配犯というと、ニュースで取り上げられるなどして大々的な捜査が行われるイメージですが、実際には街中にポスターが貼られたりすることもない「知られざる指名手配犯」が大半だといいます。そんな指名手配犯を専門にした捜査員も存在しますが、彼らが捕まえることができずに、意外な形で最後を迎えた特別指名手配犯がいます。本記事では、『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)より、著者の三枝玄太郎氏が指名手配犯にまつわる話をご紹介します。

「的割りさん」でも見抜けず50年逃げ切った桐島容疑者

2024年1月26日、驚愕すべきニュースが報じられました。1974年から1975年にかけて起きた連続企業爆破事件で特別指名手配されていた過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー、桐島聡(70)と名乗る男が神奈川県警に名乗り出たのです。

 

桐島容疑者は末期の胃がんを患っており、神奈川県の病院に入院していました。桐島容疑者は「内田洋」と名乗り、神奈川県藤沢市で住み込みの建設作業員をしていたのです。藤沢の街にも溶け込み、音楽好きで人付き合いのいいおじさんとして知られていました。

 

50年近くの長期間、特に人を避けるでもなく、近くの銭湯でも顔なじみだったそうです。TBSが特報した桐島容疑者の近影を見ても、手配写真とは似ても似つかない人物に変貌していました。

 

東アジア反日武装戦線は「腹腹時計」という爆弾製造マニュアルを作成して、メンバーに配布していました。

 

その中では、「あらゆる面で肥大化した都市機能、雑踏を最大限に活用し、隠れ蓑としなくてはならない」と説き、「極端な秘密主義や閉鎖主義で生活すると、むしろ墓穴を掘る結果となるので、表面上はごく普通の生活をする人に徹する。近所付き合いは浅く、狭く。隣人の挨拶は不可欠」と書かれているそうです。

 

警視庁公安部が男のDNA鑑定をした結果、桐島容疑者だと断定されました。彼は1975年に東京・銀座で発生した韓国産業経済研究所爆破事件などに関与したとして、指名手配されていました。

 

同様の事件で指名手配されており、桐島容疑者と同じ明治学院大に通っていた東アジア反日武装戦線のメンバーUは7年逃走しましたが、東京都内の新聞販売店で働いていたところを警視庁に逮捕され、懲役18年の刑を受けました。Uは今でも冤罪事件の救援活動をしているといいます。

 

50年逃げ切った桐島容疑者。的割りさんでも見抜けなかった特別指名手配犯だったわけです。

 

「事件を後悔している」と警視庁の捜査員に語ったという桐島容疑者ですが、健康保険にも加入できず、末期になるまで手当てもできず、結婚もあきらめ……そんな人生を思うと、死の直前まで逃げ切ったことが〝勝利〞といえるのかはなはだ疑問です。服役を終えていれば、少なくとも数十年は自由な時間があったはずです。
 

 

三枝 玄太郎

 

※本記事は『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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※本連載は、三枝 玄太郎氏の著書『三度のメシより事件が好きな元新聞記者が教える 事件報道の裏側』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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