「容疑をほのめかす供述」とは?
捜査や取り調べにまつわるニュースの知られざる裏側についてお話ししていきましょう。「〇〇容疑者は容疑を認めています」とか「〇〇容疑者は容疑を否認しています」という言い回しをニュースで耳にする方も多いと思います。
これは文字通り、容疑を認めているか、認めずに否定していることを指しますが、では次のこれはいかがでしょう?「〇〇容疑者は容疑をほのめかす供述をしています」。認めているのか、いないのか、ちょっとはっきりしませんよね。これは「供述調書」の存在がカギになっています。
あなたが仮に犯罪の嫌疑をかけられて、警察に逮捕されてしまったとしましょう。「おい、お前、やったのか正直に言え」と刑事はあなたを責め立てます。実は会社の上層部が関与しているとあなたは知っているのですが、それをしゃべってしまったら解雇されてしまうかもしれない。しかし、目の前にいる刑事はさっきからバンバンと机を叩いて追及してくるし、証拠も握っているようだ。どうしよう、もう楽になりたい……。
あなたは一計を案じます。「そうだ、ここは認めてしまって、あとで『本当はこういうことでした』と言い訳すればいいや」。
「やりました。ええ、私がやりました」「じゃあ、誰に頼まれてやったんだ」「いや、それはわかりませんねえ」「詳しく話せ」いやはや、時間を稼ぐつもりが、とんだ藪蛇になったかもしれません。警察からすると、単に「やりました」と言われただけでは、自白をしたことにはなりません。
こういう場合、対外的には「容疑をほのめかす供述」と発表することになります。
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