指名手配犯の捜査、「福田和子事件」が報奨金導入の後押しに
テレビのニュース速報で「警察は〇〇容疑者を全国に指名手配した」とテロップが流れることも少なくありません。その人物が犯行を起こしたのは、ほぼ間違いないものの、すでに行方をくらませてしまった場合に指名手配がなされます。
警察庁Webによれば、指名手配されている犯罪者は2023年8月末時点で約540人に上ります。指名手配されると、強盗や殺人などの容疑者は、各都道府県警の末端の交番の警察官にまで顔写真と名前、犯罪の種類など必要な情報が行き渡ります。組織的殺人やテロといったさらなる重大犯罪になると、「特別指名手配」される制度もあります。
1995年に発生した地下鉄サリン事件の容疑者らが特別指名手配されたケースは記憶に新しいですが、昭和40年代に世情を騒がせた連合赤軍事件では53人にも及ぶ容疑者が特別指名手配され、49人が逮捕されています。
こうした指名手配と特別指名手配のうち、警察が報道機関を通じて「指名手配した」などと広報するケースが「公開指名手配」です。写真付きのポスターが大量に作成され、広く情報公開を求めます。ただそれはほんの一部で、多くはポスターも何も作成されていない〝知られざる〞指名手配犯です。
2007年からは捜査特別報奨金制度も始まりました。警察庁が指定した容疑者の逮捕につながる情報を提供した市民に、上限額300万円の範囲で、国から報奨金を支払うものです。「特別に必要がある場合」は1,000万円まで増額できます。期限は1年ですが、ほとんどの場合は、逮捕されるまで延長または短縮しているようです。
この制度がまだなかった1982年に、愛媛県松山市で発生したホステス殺人事件、いわゆる福田和子事件が起きました。整形して逃亡を続けていた福田容疑者はもう少しで時効というときに、居酒屋店主らの通報をきっかけに逮捕されました。
このとき、被害者の遺族らが報奨金を支払うと呼びかけていたことが、その後の報奨金制度導入を後押ししたといわれています。
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