「会社を辞めたい」というエネルギーは強力な推進力を持つ
新聞や雑誌の特集で現在組織のトップとして活躍する経営者の若手時代を紹介する記事をよく見ることがあります。
多くの場合で、若手時代にはキャリアについて真剣に悩み、「会社を辞めることを真剣に考えた」「実際に会社を辞めた」ことによって新たなキャリアを切り開いていったことが紹介されています。
キャリアチェンジを果たした多くの先人も「会社を辞めたい」からその第一歩は始まっています。次のキャリアを考える際に「会社を辞めたい」という思いほど強い原動力になる力はないのです。
振り返ってみると、筆者の場合も真剣にキャリアに向き合ったのは、「もう今の会社に行きたくない」「今の会社を辞めたい」と思ったタイミングです。
夜も眠れないほど今の仕事・会社について真剣に悩み、頭から湯気が出るほどキャリアについて考えたのもこうしたタイミングです。
こうして沸き上がってきた思いは、セカンドキャリア推進の大きな力になります。その際には、蒸気機関と同じように沸騰した蒸気(辞めたいエネルギー)そのままでは使い物にはならず、蒸気を前に動かす動力に変えていくことが重要です。
以下に「会社を辞めたい」という思いをネガティブからポジティブなエネルギーに変換するためのポイントをまとめておきましょう。
【エネルギー変換のポイント】
①「会社を辞めたい」という思いを妙な罪悪感で捉えない
②まずは熱を冷ます→「辞めたい」思いを黒白の色をつけずにそのまま受け入れつつ、その一方で第三者目線(冷静な目線)を持つ
③「会社を辞めたい」という思いをきっかけに、必ず1つの具体的な行動に落とし込み、確実に実行する
まず①についてですが、心の奥から抑えきれずに沸き上がってきたこうした思いですが、どうしても「自分が弱いから辞めたいと思うのに違いない」「周囲のみんなも頑張っているのに自分は頑張りがまだ足りない」という〝妙な罪悪感〟を感じがちです。
沸き上がったせっかくのエネルギーを心の奥に抑え込むことは負のエネルギーを蓄積することになり、セカンドキャリア推進のブレーキになりかねないので要注意です。
次に②についてですが、「会社を辞めたい」と思ったときは、怒り・不安・絶望感など様々な思いが交錯しどうしても冷静さを欠けがちです。こうした時ほど大きく息を吸って冷静な第三者目線を持つことが重要です。
キャリア相談をする場合でも、身近な社内の同僚、上司ではなくではなく客観的に状況を見ることができる利害関係のない社外の人に相談することもポイントになります。
③に関しては、良い意味で自分のキャリアにおける「背水の陣」を敷き、一過性の感情の沸き上がりにとどめることなく、常に「健全な危機意識」を持ち続けることが重要です。
「会社を辞めたい」という思いが沸き上がってきたのは、自分に対して「立ち止まって考えろ」「(その上で)行動を起こせ」というシグナルが出ていることに他なりません。
「会社を辞めたい」をきっかけに「自分のキャリアは自分で決める」という覚悟を持ち、「会社を辞めたい」という思いを強い推進力としてセカンドキャリアにつなげていくことが、「人生100年・現役80歳時代」を生き抜いていくために必須のスタンスです。
木村 勝
行政書士
リスタートサポート木村勝事務所 代表
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