(写真はイメージです/PIXTA)

機関投資家のうち、年金基金や銀行、保険会社等の金融機関、財団等、資産を保有する組織であるアセットオーナーの運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則「アセットオーナー・プリンシプル」の作成が今夏を目途に作成される予定です。ニッセイ基礎研究所の德島勝幸氏の解説です。

プリンシプルのアウトライン

4月下旬に開催された第3回作業部会では、プリンシプルのアウトラインが提示されている。提示された5つの原則を中心に、必要なものは補充原則が追加されることが予定されているようだ。提示された原則案は以下の5つである。

 

【原則1】:アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続きに基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。

 

【原則2】:受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見が不足する場合は、必要な外部知見の活用や外部委託を行うべきである。

 

【原則3】:アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な委託先を選定するとともに、定期的な委託先の見直しを行うべきである。

 

【原則4】:アセットオーナーは、ステークホルダーへ運用状況の情報提供(「見える化」) を行うべきである。

 

【原則5】:アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るにあたり、自ら又は委託先である運用会社の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。

 

最終形のプリンシプルでは、更に肉付けをされることが期待され、アセットオーナーはどのように対応するかの検討が求められる。アセットオーナーの変革が、日本の資産運用業にとって新しい歴史を描くものになることを期待したい。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年5月27日に公開したレポートを転載したものです。

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