(写真はイメージです/PIXTA)

機関投資家のうち、年金基金や銀行、保険会社等の金融機関、財団等、資産を保有する組織であるアセットオーナーの運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則「アセットオーナー・プリンシプル」の作成が今夏を目途に作成される予定です。ニッセイ基礎研究所の德島勝幸氏の解説です。

資産運用立国実現プラン

政府は昨年12月に資産運用立国実現プランを公表した。日本の資産運用業が必ずしも世界の最先端を走っているとは言えないだろう。アセットマネジャーと呼ばれる資産運用会社のうち、大手の多くが金融機関などのグループ会社であり、独立した基盤の運用会社は預かり資産残高などで劣位になっているものが多い。アセットマネジャーに関しては、今回のプランの中では新興運用業者の促進プログラムの策定が示されている他、資産運用業への国内外からの新規参入と競争の促進が明示されている。

 

アセットマネジャーに課題が存在するのと同時に、今回の資産運用立国実現プランにおいては、インベストメントチェーンの要であるアセットオーナーについても、明確な課題が指摘されている。アセットオーナーに対しては、今夏を目途に共通の原則としてのアセットオーナー・プリンシプルが作成される予定であり、急ピッチで議論が進められている。

アセットオーナー・プリンシプルとは

アセットオーナー・プリンシプルの対象となるアセットオーナーは、あまりにも種類が多い。想定されているものとしては、“公的年金、共済組合、企業年金、保険会社、大学ファンドなど幅広く、課題もそれぞれである”と示されている。企業年金の多くが資産規模では100億円に満たないのに対し、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産は200兆円を超えるし、大手の生命保険でも数十兆円といった総資産を有する会社もある。資産規模や体制が異なるアセットオーナーについて、共通の原則を確立するのは決して容易ではない。

 

それでも、資産運用立国実現プランでは、“アセットオーナーがそれぞれの運用目的・目標を達成し、受益者等に適切な運用の成果をもたらす等の責任を果たす観点から、アセットオーナーに共通して求められる役割がある”とし、アセットオーナー・プリンシプルを“アセットオーナーの運用・ガバナンス・リスク管理に係る共通の原則”であるとする。

 

したがって、規模も体制も、更には運用資産の源泉も様々なものであることから、プリンシプルについては、全面的に強制されるルールではなく、スチュワードシップ・コード等と同様に文字通りのプリンシプル・ベースとし、概ねコンプライ・オア・エクスプレインの対応が求められるものと想定される。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2024年5月27日に公開したレポートを転載したものです。

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