(※写真はイメージです/PIXTA)

最初の相続(一次相続)は、配偶者と子どもが遺産を相続しますが、その配偶者が亡くなった後に発生するのが「二次相続」です。この二次相続では、相続税の負担が大きくなる可能性が高いため、事前に十分な対策を講じることが重要です。本稿では、なぜ二次相続で相続税の負担が増えるのか、そしてどのような税対策が有効かについて詳しく解説します。

生命保険を二次相続の対策に活用する方法

まず被相続人が生命保険会社と保険契約を締結します。

 

その際に、保険契約書や契約画面(インターネット申込の場合)で、死亡保険金の受取人を指定します。子どもを受取人に指定していないと、二次相続対策にはならないので注意しましょう。

 

受取人の指定の際は、1名だけを指定しても、複数人を指定しても構いません。また、保険加入後に保険金受取人の変更も可能です。

 

受取人に指定するとき当人の同意は不要です。ただし、事前に「自分の保険金の受取人を○○にしている」と受取人に伝えておいた方が、相続開始の際はスムーズに保険金請求手続きが行えます。

 

保険金請求後は、生命保険会社から早ければ即日、遅くても10日程度で受取人に保険金が支払われます。

 

死亡保険金は受取人の固有の財産なので、相続発生の際、金融機関から被相続人の預金口座を凍結されるような状況にもなりません。

生命保険を二次相続対策として活用した事例

母親の二次相続時には、多額の相続税負担となる可能性があったため、生前贈与および生命保険を利用した事例を紹介します。

 

【生命保険活用の背景】

 

母親は子ども3人の同意のもとで、配偶者控除を利用し、亡父の相続財産をすべて引き継ぎました(一次相続)。

 

配偶者控除で相続税の負担は0円に抑えられましたが、二次相続の際は子ども3人へ多額の相続税負担となる事実が判明します。

 

【生命保険等の活用】

 

母親と子ども3人は次のような対応を考え、実行に移します。

 

・母親は生命保険に加入し、保険金受取人を子ども3人にして、保険金額を平等に分けられるよう設定

 

・遺産分割が難しい土地・建物を売却し、売却代金を生命保険料にあてる他、子ども3人に生前贈与し、徐々に相続財産を減らしていく

 

【二次相続対策の効果】

 

生命保険を二次相続対策に活用したので、遺産分割協議の対象となる相続財産を可能な限り減らすことができ、将来の相続トラブル回避につながります。

 

また、相続税の基礎控除に加え死亡保険金の非課税枠(1,500万円)も適用され、大幅に税負担を下げる効果も期待できます。

生命保険を用いた二次相続対策のポイント

相続対策では終身保険が最適

死亡保険金が下りる生命保険は、各生命保険会社から数多く販売されています。

 

その中でも、「終身保険」が二次相続対策に最適です。

 

終身保険とは一生涯にわたり死亡保障が受けられる生命保険です。つまり、何歳で被保険者が亡くなっても確実に保険金は受取人へ支払われます。

 

一方、生命保険には「定期保険」という、一定期間にわたり保障される保険もあります。しかし、この保険には契約更新の上限年齢が設定されているので注意しましょう。

 

例えば「被保険者が90歳になれば保険契約終了」と取り決められ、所定の上限年齢を超えた場合、契約は失効し、保険が継続できないばかりか、これまで払い続けた保険料も戻ってきません。

契約条件をしっかり確認する

生命保険を契約する際は、複数の保険商品の保障内容(例えば保険金設定は何千万円まで可能か等)を比較し、最も自分にあった保険を選びましょう。

 

なお、加入できる年齢を超えていないか、健康告知項目(例:持病の有無や、手術歴等)に該当していないかをよく確認した上で申込をしましょう。

 

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