(※写真はイメージです/PIXTA)

自分や家族が「がん」と診断されたとき、大きな不安からネットの自分が信じたい情報を鵜呑みにしてしまう人は少なくありません。がんに対する誤った情報を妄信することで、必要以上に財産を失うケースもあり……。本記事では、夫をすい臓がんで亡くした竹田さん(仮名/72歳)の事例とともに、がんの民間療法に関する実情をFP1級・株式会社ライフヴィジョン代表取締役の谷藤淳一氏が解説します。

あらゆる民間療法にすがるも…あとから気づいた2つの誤算

さっそく買ってきた本を読んでみると「がんは糖分で育つから糖質カットでがんをやっつける」といった記述がありました。根拠として書かれている理論的な説明に竹田さんも「なるほど」と納得。野菜などの食材は無農薬のもの、調理料も無添加のものを選び、お金をかけて食事にこだわっていきました。

 

ほかにもなにかないかとインターネットで情報収集していくと、サプリメント、健康食品などがんに効くとされるものがたくさんあることを知り、よさそうなものはネット通販で定期購入の契約。いつしか竹田さんはインターネットで「がんに効く」ものを検索することが日課になっていました。

 

そんなある日インターネットで情報収集していると『がんが消える水』というキャッチコピーを発見、中を覗いてみると無料のセミナーがあるということで参加していみることに。セミナーではがんを消す特殊な成分が入った水についての説明がありました。末期がんも治る可能性があるという話を聞いた竹田さんは、1本1万円の水の定期利用を決めました。

 

そんな具合で夫のがんを治すためにと、お金を惜しまずあらゆる手段を取り入れていた竹田さんですが、特に予算管理をせずに出費を続けていたため、いつしか預金残高は2,000万円を切ってしまいました。それを知った夫からは「いろいろやってくれるのはありがたいけれど、お金もかかるしあまり無理しないでほしい……」といった言葉も。

 

ただ生存率が低いすい臓がんで夫を失うことに極度の不安を感じていた竹田さん、その後もなにかセミナーなどイベントがあれば参加し、よいと思ったものは入手。

 

また、もの以外にヨガ、鍼灸、アロマテラピー、漢方なども試すとともに、趣味の旅行も兼ねて、全国のがんに効くとされる温泉場へ長期の湯治にいくなど、がんが消える可能性があると思うものに出費を続けていきました。

 

がん悪化…主治医からは余命宣告

そういった生活が1年近く経過したある日、夫が突然体調不良となり、かかっていた病院を受診、そのまま緊急入院となりました。数日療養し様態は落ち着いてきましたが、竹田さんは主治医に呼び出され「もう治療のしようがない状態」であることを告げられ、退院し在宅医療へ移行することに。

 

在宅医療に移行後もできるものにはお金をかけてなんとか夫のがんが消えることに賭けた竹田さんでしたが、その甲斐なくそれから数ヵ月後に夫はかえらぬ人となりました。

 

預金残高は3,500万円→700万円に

夫が亡くなってから3ヵ月が経過、様々な手続きも終え、ようやく最近落ち着きを取り戻し始めてきた竹田さん。子供がいないため、これからの老後をひとりで過ごしていかなければならないなか、なにか生きがいを探していかなければなどと考え始めていましたが、ふとしたときに銀行預金通帳を見て驚きます。

 

夫の年金生活が始まったときにあった3,500万円の預金残高はいま700万ほどに。なんと5分の1にまで少なくなってしまっています。夫のすい臓がんが発覚する時点ではまだ3,000万円以上残っていたはずなので、この1年半ほどで大幅に減ったという計算に。

 

もちろんこの1年間通帳を見たことがなかったわけではありません。竹田さんはこの1年半ほど、とにかく夫のがんが消えてもらいたいという思いから、お金を気にせず出費し続けたことを思い出し、今おかれた状況にとまどいを感じています。

 

そして「もし私が病気になったり介護になったりしてしまったら施設に入るしかないけれど、このお金で大丈夫かしら……」と、自分自身のこれからに不安を感じたのでした。

 

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次ページ国立がん研究センターも警鐘を鳴らす…民間療法の恐ろしさ

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