(※写真はイメージです/PIXTA)

総務省によると、日本の人口のうち65歳以上の高齢者は29.1%と、過去最高を更新したそうです(2023年9月時点)。このように、「超高齢化社会」の日本に欠かせないのが「介護施設」です。しかし、人手不足が深刻なこの業界、サービスの質は玉石混淆だと、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはいいます。そこで、事例を交えながら「失敗しない施設選びのポイント」をみていきましょう。

87歳のAさん…息子の説得で「老人ホーム暮らし」を決断

現在87歳のAさん(女性)は元小学校教員で、その時代には珍しく、校長まで勤めた人物です。退職金は2,500万円、年金は23万円と、金銭的な不安はほとんどありません。数年前に夫を亡くしてからは、広い戸建てにひとりで暮らしていました。

 

そんなAさんには、同じ県内に暮らすひとり息子のBさん(55歳)がいます。Bさんは定期的にAさんの様子を見に実家へ帰るなど、高齢の母親を気にかけていました。

 

特に、父親が亡くなって以降、Bさんは「こんな広い家にひとりで暮らすのも大変だろう。専門の職員がいる施設に入ったら?」と、母親であるAさんに介護施設への入居を勧めていました。

 

「まだまだ大丈夫。あんたには迷惑かけないよ」と強がっていたAさんでしたが、あるとき鍋を空焚きし、ボヤ騒ぎを起こしてしまいました。

 

「やっぱり危ないよ。家事は大変だから施設へ入って俺を安心させてくれ」と長男が伝えると、Aさんはしぶしぶ納得。施設への入居を決断しました。

 

「老人ホームは介護が必要な人しか入れない」と勝手に思い込んでいたAさんですが、長男いわく、いまはさまざまな種類の施設があるといいます。そして長男からおすすめされたのが、県庁所在地に新しくオープンした綺麗な有料老人ホームでした。

 

AさんとBさんが施設見学に行くと、職員たちは笑顔で迎えてくれました。設備は新しく充実しているほか、オープンしたばかりということもあり、入居者の数もそこまで多くなく、穏やかでゆとりのある良い雰囲気でした

 

Aさんは早速ほかの入居者と談笑するなど、すっかりこの施設を気に入っている様子。一緒に見学していたBさんも「ここなら職員の雰囲気も良いし、建物もきれいだから大丈夫だろう。なにより家から近いのがありがたい」と、ひと安心でした。しかし……。

 

Aさんが老人ホームに入居して約1年後、Bさんのもとに「助けて!」と電話がありました。 なにごとかと思い理由を尋ねると、Aさんいわく「男が部屋に入ってくる!」とのこと。いったいどういうことなのか、Bさんにはわかりません。

 

「まさか認知症になったのか? この前会ったときは元気そうだったが……」Bさんは不安に思いながら急いで施設に向かいました。

 

 

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〈出典〉
001144293.pdf(mhlw.go.jp)介護人材の処遇改善等
2023r01_chousa_gaiyou_0821.pdf(kaigo-center.or.jp)令和4年度介護労働実態調査結果
000804129.pdf(mhlw.go.jp)第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

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