(※写真はイメージです/PIXTA)

自分や家族が「がん」と診断されたとき、大きな不安からネットの自分が信じたい情報を鵜呑みにしてしまう人は少なくありません。がんに対する誤った情報を妄信することで、必要以上に財産を失うケースもあり……。本記事では、夫をすい臓がんで亡くした竹田さん(仮名/72歳)の事例とともに、がんの民間療法に関する実情をFP1級・株式会社ライフヴィジョン代表取締役の谷藤淳一氏が解説します。

科学的根拠のない「民間療法」に傾倒するリスク

日本ではがん患者の多くが病院での標準的な治療に加え、民間療法を利用しているといわれています。2011年厚生労働省の調査結果では、がん患者の約45%が利用しているということで、そのなかで最も多いものがサプリメントとなっています。

 

『民間療法』とは国立がん研究センターによると、

 

がんの治療法を選択するときや治療を受けているときに、手術や薬物療法、放射線治療といった標準治療のほかに、健康食品やサプリメントなどの、いわゆる「民間療法」に関心を持つ人は少なくありません。「民間療法」の定義は明確ではありませんが、「補完代替療法※1」や「統合医療※2」の一部として扱われることがあります。

 

と発信されています。具体的な例としては、

 

■瞑想、ヨガ、バイオフィードバック、催眠療法、リラクセーション、音楽療法、アロマセラピーなど
■ビタミン、ハーブ、サプリメント、健康食品など
■鍼や灸、マッサージ、カイロプラクティックなど
■レイキ、セラピューテック・タッチなど
■アーユルベーダ、伝統的中国医学、ホメオパシー、自然療法薬など

 

といったものがあげられています。そして重要なこととして、

 

民間療法は、がんそのものへの効果は証明されていません。つまり、民間療法によって、がんが消えたり、小さくなったりすることはありません。民間療法にはさまざまなものがありますが、がんの治療に最も効果があると証明されている「標準治療」のかわりになるものはありません。そのため、標準治療のかわりに、民間療法のみを受けることは、非常に危険です。

 

ということが合わせて発信されています。また、

 

がん治療中の民間療法によって、治療の効果が弱くなることや、予期せぬ副作用が出ることもあります。特に、健康食品やサプリメントを摂ること、食事療法によって、がんの治療ができなくなることがあります。

 

ということで、民間療法によるマイナス効果についても注意喚起されています。

 

費用は青天井、破産リスクも

2011年厚生労働省の調査結果では、民間療法を利用するがん患者の出費額は、月に平均5万7,000円となっていて、決して小さい額ではないといえるかもしれません。

 

民間療法といわれているもののほとんどは医療行為ではないため、健康保険の対象にはなりません。そのため費用は業者の言い値ということになり、想像以上の高額な費用が請求されてトラブルにつながっている事例もあります。

 

今回の事例の竹田さんも夫のがんが消えてほしいというただ一点の願いから、希望をいだかせるものを見つけてはそれに手を出し、気がついた時に預金残高が5分の1に減ってしまっていました。

 

夫のためとはいえ預金の大半をわずか1年半ほどで使ってしまいましたが、竹田さんの老後の生活はこれからまだ長く続いていくことが考えられます。夫を失う怖さがあったとはいえ、やはり竹田さんがとった選択は、経済的な観点からは適切であったとはいえないかもしれません。

 

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