(※画像はイメージです/PIXTA)

地主の相続において、後継者選定は非常に難しい問題です。承継前までは上手く準備が進んでいると思い込んでいても、承継後に想定外の事態となるケースも少なくありません。本記事では白川家(仮名)の事例とともに、地主の相続における後継者選定の注意点について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。

横暴な経営を続けた結果

社員・取引先から次々に愛想を尽かされ…

その後、半年程度経過したが、いままでいた社員の多くが会社を去った。一成のやり方に意見した者は容赦なくクビを宣告されるのだ。一成のやり方に愛想をつかして自ら会社を去った者も大勢おり、そのなかには、長く勤め会社の核となっていた社員らもいたようである。

 

多くの社員が秀広を頼って相談に来たが、権限もないため「なにもできず申し訳ない」と謝罪するのみ。解決を図ることはできなかった。

 

一成は新たに社員を採用しているようだが、一成のやり方についていけずに、雇ってもすぐに退職しているようであり、離職率が極めて高いそうだ。秀広はこれまで社員のことを家族同然に接し、ビジネスパートナーとして大切にしてきたが、一成はあくまでもコスト程度にしか考えていないようである。

 

取引先である管理会社などに対しても管理費の引き下げを高飛車な態度で要求することが多く、管理会社のほうから契約を打ち切りたいとの申し出が多く来ているそうだ。一成に対しては常々、社員はもちろんのこと取引先についても「共存共栄」が大切であり、多くの関係者によって株式会社白川が成り立っていることを伝えていたつもりであった。しかし、一切心に響いてはいなかったことがわかった。

 

このままでは、いままで大切にしていた多くの関係者が去っていき、一成自身、孤独に陥っていくことは必至であろう。

 

家族からも距離をとられる一成一家

秀広は、いまからとるべき相続対策として、自身の所有する個人資産については一成以外の子供たちに承継させることを公正証書遺言で作成した。さらに、一成については「相続廃除」によって法定相続人から外すことを検討している。ほかの子供たちも、一成からは距離を空けるようになってしまったようである。正月に親族で集まった際においても、一成一家のみ顔を出すことはついになかった。

 

――最近になり、秀広はかつての取引先から株式会社白川のことを聞く機会が増えてきた。

 

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