結婚以来、楽しいことばかりでなく、苦しいことも、大変なことも、共に乗り越えてきた夫婦。年金を受け取るような年齢になってからは、ただ穏やかに余生を過ごす……そんな日々が始まるかと思えば、そういうわけにはいかないようです。
年金月7万円・66歳妻「あなたの面倒なんてみたくない」…1人自宅に残された、年金月18万円・67歳の夫「老後破産」の危機に恐怖 (※写真はイメージです/PIXTA)

結婚当初から仲の悪い「義母の介護」を強いられる嫁

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護者等からみた主な介護者の続柄をみていくと、主な介護者と同居しているのは全体の45.9%。最多は「同居する配偶者」で全体の22.9%。「同居する子」16.2%、「子の配偶者」5.4%と続きます。ちなみに別居、または不詳が全体の54.1%で、「別居の家族等」は11.8%、「事業者」が15.7%。また「同居の主な介護者」を男女別にみていくと、男性31.1%に対し、女性68.9%でした。

 

この結果と、夫婦の年齢差や男女の平均寿命から、まず夫(父)が要介護となり妻(母)が介護する→妻(母)が要介護となったら、子と同居を始めて子が介護する、もしくは子の妻が介護する、というパターンが多いのではないでしょうか。また最初から夫の親と同居しているというパターンであれば、夫(義父)が要介護となった時点で、妻(義母)より若くて体力のある子の妻(嫁)が主な介護者として奮闘しているかもしれません。

 

北山美奈子さん(仮名・66歳)も、義親の介護に奮闘していたひとり。義父は早くに亡くなり、介護をしていたのは義母(享年92歳)。結婚当初から義母との仲は良好とはいえなかったといいます。

 

――私は高卒なのですが、それが気に入らなかったらしいです

 

「お母さんみたいに高卒では、これからの時代、生きていけないよ」「よい大学に入りなさい。(お金の心配があるが)大丈夫、お祖母ちゃんが助けてあげるから」と、子ども(孫)にいうような義母。仲良くできるはずがありません。そのため美奈子さんも、義親とのコミュニケーションは必要最低限に留めていたといいます。

 

何よりも不満は、常に義母側にいる夫(67歳)。何度か義母への不満を口にしたことがありましたが、一度も味方になってくれず……挙句の果てには「お前が悪い!」と叱責されたこともあるとか。そのため、夫にも諦めの気持ちが強かったといいます。

 

5年前、3人の子どもはすべて社会人となり子育て終了。ようやく自分の時間が持てると考えていた矢先、義母が要介護に。転倒による骨折がきっかけでした。そこで美奈子さんの夫が、何の相談もなしに義母との同居を決定。「私、何も聞いていないわ」と抗議したものの、「要介護の年寄りをひとりにするわけにはいかないだろ」と一蹴。もちろん、夫が義母の介護をするのであればいいのですが、「だって俺は仕事あるし。母さんの介護できるの、お前しかいないだろ」と、すべてを美奈子さんに丸投げ。それから3年。美奈子さんはほとんどの時間を、仲が良好とはいえない義母の介護にあてたといいます。