離婚で慰謝料がもらえないケースも
離婚の場合、金額の相場は数十万円〜数百万円とケースによってまちまちです。離婚後の生活再建においては少しでも慰謝料があれば助かりますが、離婚すれば必ず慰謝料がもらえるわけではありません。
離婚の慰謝料とは
一般的に「慰謝料」とは精神的な被害に対する損害賠償のことですが、離婚の慰謝料はその性質によって大きく2つの特徴があります。
ひとつは「離婚原因慰謝料」で、配偶者の行為によって受けた精神的苦痛に対するものです。
もうひとつは「離婚自体慰謝料」で、離婚することで夫または妻という地位を失うことで生じる精神的苦痛に対するものです。
また、慰謝料は「夫から妻に払うもの」というイメージがあるかもしれませんが、浮気・不倫などの行為や離婚自体によって精神的苦痛を与えたのが妻のほうであれば、妻から夫に対して慰謝料を払うケースも当然あります。
慰謝料がもらえないケース
性格の不一致で離婚する場合
平成29年度の司法統計によると、すべての家庭裁判所の婚姻関係事件の申立ての動機として最も多かったのは「性格が合わない」でした※。
離婚の原因として多い性格の不一致は、夫か妻のどちらか一方だけが悪いものではありません。このため通常は慰謝料を請求することはできません。
配偶者の家族との不仲により離婚する場合
結婚生活では、姑やきょうだいなど配偶者の家族の言動に耐えられない、これ以上関わりを持ちたくないということも出てくるでしょう。
このような事態に、配偶者の家族との不仲を「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚することは可能です。しかし、原則として慰謝料を請求することは難しいといえます。
たとえば、「夫がマザコンだったから」という理由だけでは慰謝料をもらうのは難しいでしょう。請求できるとしても、配偶者が両者の関係修復にまったく協力しなかった場合や、配偶者が家族とともに精神的苦痛を与えてきた場合などに限られます。
婚姻関係の破綻後の浮気・不倫で離婚する場合
離婚の慰謝料と聞いてまず思い浮かぶのは浮気・不倫で離婚するケースではないでしょうか。しかし、婚姻関係が破綻した後に起きた浮気・不倫を原因として離婚する場合は、慰謝料を請求することは難しいといえます。
具体的には、家庭内別居状態で話もしない状態だった、すでに別居していて交流もなかった、離婚に向けて話し合いや調停がすすんでいた、というものです。
配偶者の信仰そのものを理由に離婚する場合
日本国憲法では基本的人権として信教の自由が認められていて、配偶者が自分と違う宗教を信仰していることだけを理由に離婚や慰謝料請求をすることは難しいです。
慰謝料がもらえる可能性があるのは、配偶者が宗教のためにお金を使って生活費を入れない、宗教のことを隠して結婚していた、など「婚姻を継続し難い重大な事由」にまで発展している場合に限られます。
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