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人から財産をもらったときにかかる贈与税。もらった側が払うものですが、節税のための非課税枠も。しっかりと活用するためにも、まずは贈与税はどのように計算するのか、知っておくといいでしょう。

贈与税を節税する5つの方法

贈与税の税率・計算方法は以上の通りとなりますが、ここからはこの贈与税の節税方法を紹介します。

 

①夫婦間での居住用不動産の贈与は2,000万円まで控除可能~配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、住まいである土地・建物もしくはそれを取得するための金銭の贈与が行われた場合には、特別に配偶者控除として、基礎控除の110万円以外に最高2,000万円まで贈与税の課税価格から控除できます。

 

ただし、上記の条件を満たしていても、たとえば次のような注意点があります。

 

●自分が住むための国内の居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭である必要がある

●贈与を受けた年の翌年3月15日までに、現実に居住し、その後も引き続き住む見込みである必要がある

●同じ配偶者から一生に一度しか適用できない

●店舗兼住宅のような場合には、居住用部分が9/10以上であれば全体に適用することが可能

 

②祖父母などからの教育資金の一括贈与は1,500万円まで非課税

祖父母等から30歳未満の者に対して、教育資金の一括贈与が行われた場合には、最高1,500万円まで非課税となります。ただし手続きとしては、金融機関等で一定の信託契約を結ぶ必要があります。令和8年3月31日までに行う必要があり、原則として贈与を受けた者が30歳になった時点で残額があった場合には、その残額はその時点で贈与税がかかってしまいます。また、途中で贈与した者が死亡した場合には、一定の場合を除いてその時点の残高に相続税が課税されてしまいます。

 

概要は上記の通りですが、当該贈与には次のように注意点がいくつもあります。

 

●教育資金に該当する範囲は、学校等の入学金のほか塾に関する費用なども含まれる

●学校等以外(塾など)に支払う金銭は500万円が上限

●非課税の適用を受けるためには、金融機関を通して非課税申告書を提出する必要がある

●教育資金口座からの金銭の実際の払い出しは2通りを選択できる

 

③父母などから結婚・子育て資金の一括贈与は1,000万円まで非課税

結婚・子育て資金に充てるために、直系尊属から贈与があった場合には最高1,000万円まで非課税となります。令和7年3月31日までに金融機関を通して手続きが必要となります。

 

ただし、途中で贈与した側の者が死亡した場合には、その時点の残高には相続税が課税されてしまいますので、相続税対策には使いづらい制度と言えます。

 

④110万円以上贈与して“あえて”贈与税を支払った方が節税になることもある

贈与をする際、いくら贈与したらよいかを迷われる方は多くいらっしゃいます。特に深く考えずに、税金がかからない上限は110万円だから110万円にしようと決めていませんか? たとえば、310万円を贈与した場合。贈与税は、

 

(310万円 - 110万円)× 10% = 20万円

 

となります。10%の贈与税で、下の世代に財産を移転することができます。ここで、仮にその贈与者に相続が発生した場合にかかってくる相続税率が50%だとします。そうすると、同じ310万円を生前贈与しないで、相続でその分を多く取得する場合は、

 

310万円 × 50% = 155万円

 

だけ相続税が多くなります。当然、こういった場合は、相続で取得するよりも贈与で取得した方が節税につながることとなります。相続税の節税対策として贈与を検討される際は、将来発生する相続税のシミュレーションも行い、その税率と比較し贈与額を決定する必要があります。

 

⑤現金ではなく不動産を購入し贈与することで贈与税が45万円も節税になる

現金500万円を贈与すると、贈与税は特例税率で48.5万円かかります。ただ、この500万円で不動産を購入しその不動産を贈与するという方法もあります。一般的に、贈与税の計算で用いる不動産の評価額は相続税評価と同様で購入金額の3割程度になります。

 

よって、

 

500万円 × 30% = 150万円

(150万円 - 110万円)× 10% = 4万円

 

となります。つまり、500万円を現金で贈与すると50万円近くの贈与税がかかっていたのが、その資金で不動産を購入し、その不動産を贈与することで、4万円の贈与税で財産移転が可能となります。

 

ただし、この対策を実行するには以下のような様々な注意点がありますので、よく検討したうえでかつ税理士等の専門家へ相談をされた方がよいでしょう。

 

●不動産を贈与すると登録免許税・不動産取得税等の諸経費がかかる

●贈与税の税率と相続税の税率を比較する必要がある

●購入する不動産によって評価が異なるので物件選定を慎重にする必要がある

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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