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(※写真はイメージです/PIXTA)

入社から退職までを通じた勤務に対して支給される退職金。基本的には働いた期間が長ければ長いほど金額は大きくなります。しかし、同期で同じ年収、同じ役職でも退職金額に大きな差が出るケースがあって……。本記事ではAさんとBさんの事例とともに、退職金の注意点について、オフィスツクル代表の内田英子氏が解説します。

「企業型確定拠出年金」のしくみ

AさんとBさんの退職金額において、最終的に大きな差をもたらした主な要因としては、お2人の利用していた企業型確定拠出年金の運用商品の違いが考えられます。

 

企業型確定拠出年金は、確定給付企業年金や厚生年金基金などと同様に企業年金制度の1つであり、勤務先の企業が導入している場合に加入することができる私的年金です。高齢期の所得確保のために資産を形成する自助努力を支援することを目的としており、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、個別に運用するのが特徴です。

 

掛金は主に事業主から拠出されますが、拠出された掛金をどのように運用するかは加入者自ら指図を行います。運用商品は大きく以下の2つに区分されます。

 

・元本確保型

・価格変動型

 

元本確保型は、満期と元本が提示されている金融商品で、たとえば定期預金や個人年金保険などの保険商品があります。

 

価格変動型は投資信託で、株式や債券など価格が変動する資産で運用するため、元本や利回りの保証はありません。

 

企業型確定拠出年金においては、元本割れが怖いからといって元本確保型でのみ運用を行うのはあまり得策ではありません。なぜなら、価格変動型である投資信託には確かにリスクはありますが、1つの銘柄に限定しない「分散投資」を行っています。また掛金が事業主から毎月拠出されていることに加え、勤務を続けていれば、退職時まで資産を引き出すことなく長期で運用が継続されます。その結果、分散投資や複利の効果とあいまって元本割れする可能性が低減され、勤続年数が長期になるほど資産をふやしやすくなる効果を期待できるためです。

 

AさんとBさんのケースでは、Aさんは元本割れが怖く、長らく定期預金で運用を行っていました。Aさんが運用していた定期預金は1年もので年利率は0.05%でした。一方Bさんは日本の株式指数に連動する投資成果を目指す日本株式インデックファンドで運用を行っており、平均利回りは10%を超えていました。

 

AさんとBさんが掛金を拠出していた過去17年の間、確かに日本の株式市場は株価が低迷していた時期が長くあり、つみたて投資の場合でも、元本割れ期間は当初5年程度続いていました。Aさんが元本割れを恐れたお気持ちも十分に推察されます。

 

しかし、長期では持続的にゆるやかに上昇しており、特に近年の上昇相場もあいまって、最終的には毎月定額でつみたて投資を継続したことで、元本の2倍を上回る運用成果を生み出していたのです。

 

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