会話の「キャッチボール」ができる手段を選ぶ
それにしても、口頭で話すと何が問題なのだろうか?
それは、話がまとまらないことだ。これは文字起こしをしてもらえれば、わかる。話した言葉をそのままテキストに変換してみたらいい。今ではAIの音声認識機能を使えば簡単にできる。私も過去、多くの取材を受けた。理路整然と話したつもりだが、話した内容をそのまま文字にされた文章を読んで、かなり失望した。私の話し方がヘタなだけかもしれないが、それにしてもヒドイ結果だった。
原稿を事前に用意しておくか、TVキャスターのように毎日鍛錬しない限り、わかりやすく話すことは非常に難しいのである。
だから、(2)の「編集ができること」というのは、とても大きな利点だ。
部長に対して若いメンバーが質問したとする。その質問が的を射ていたらいいが、そうでなかったら、「何の質問をしてるの?」「君は、何を言っているのか、自分自身でわかってる?」と言われてしまうかもしれない。
しかし、テキストベースのチャットやメールだと、テキストを打ち込んでいる最中から編集できる。送信する前に読み返すこともできる。部長が話すこと、メンバーが質問すること、それぞれの内容を思いつくまま口頭で放つより、落ち着いて編集できるチャットやメールのほうが正しく伝わるのだ。
大事なことは「対話」すること。言葉のキャッチボールをすることだ。だから(3)の「何度も確認できること」も大事なのである。
目的(幹)は相手が理解すること、納得すること、認識のズレがなくなることだ。1回や2回のキャッチボールで、「ほぼ理解できた」という状態に持っていくことは不可能である。話し手は、聞き手がキャッチしやすい球を投げること。そして聞き手も、話し手がキャッチしやすい質問を返すことだ。
特に、まだ経験の浅い若者に何かを伝えるときは、球を投げつけてばかりではいけない。ちゃんとキャッチボールできることが重要だ。メールよりもチャットをお勧めするのは、リアルタイムにキャッチボールがしやすいツールだからである。