「フィリピン」経済面で「米・日」との関係強化、中国の脅威に対抗

4月22日週「最新・フィリピン」ニュース

「フィリピン」経済面で「米・日」との関係強化、中国の脅威に対抗
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、世界的な地政学リスクの高まりの中で、フィリピン経済が進んでいる方向性と、海外投資家がフィリピンへの投資をどうみているのか、レポートします。

海外投資家、慎重な姿勢ながらも「フィリピン経済」を高評価

フィリピン・バンクオブアメリカ(BofA)のトップVincent Valdepeñas氏は、フィリピンの経済に対する投資家センチメントは、地政学的な緊張やマクロ経済の逆風があると慎重姿勢ながらも「楽観」であると述べました。

 

同氏はインタビューで、東南アジアが魅力的な市場であることから、特にフィリピンに関心を持つ投資家が増えているとする一方、企業はインフレ圧力を高めるおそれのある紛争や自然災害など、依然として懸念材料があるため、楽観ながらも慎重な姿勢であると話しました。

 

フィリピンの若年層人口構造に着目している投資家は多く、フィリピンは魅力的な市場だと考えられています。経済の成長力も投資家センチメントを後押しする大きな要因です。

 

2023年のフィリピンのGDP成長率は前年を下回ったものの、依然としてアセアン地域内のトップレベルに位置しています。フィリピン政府は今年、6~7%のGDP成長率を目標としています。

 

マルコス政権は現在、BBM(Build Better More)政策による高速道路、空港、鉄道などの交通インフラへの投資を最重要課題としており、これも海外投資家から評価されています。インフラ整備は、マルコス政権の重点分野の一つであり、GDPの5~6%を毎年インフラ投資に充てる計画があります。政府のインフラ整備プログラムには、現在、総額 9.14 兆ペソに相当する185件のプロジェクトが盛り込まれています。

 

また、Vincent Valdepeñas氏は、フィリピンは製造業への投資を強化すべきであり、役所手続きの合理化やビジネス環境の改善により、さらなる投資家誘致も可能であるとしています。さらにフィリピンの資本市場のさらなる開放にも期待を寄せていて、株式市場は今後、活況を取り戻すとみています。

 

最近のメトロバンクの債券発行が成功裏に終わったことも、投資家からの強い需要を示す好材料だと指摘。フィリピン政府が資本市場の拡大と流動性の向上に取り組んでいることを評価しています。活発で流動性のある資本市場を求めている外国人投資家にとって、フィリピンの市場は流動性に乏しく、参入しづらい状況にあるのが現状です。シンガポールのような市場の流動性や政策を参考にすることで、フィリピン市場の魅力を高めることが重要であるとしています。

 

一方で、フィリピンの観光業は、中国人観光客の戻りが鈍いことで低調と指摘。フィリピンではまだ観光客数がコロナ前の水準に回復しておらず、特に中国人観光客の回復が遅れています。フィリピン観光局の最新のデータによると、2023年のフィリピンの入国観光客数は545万人でした。これは当初の目標であった480万人を上回るものでしたが、依然としてコロナ前の水準には達していません。観光客数のトップは韓国で、全体の 26.41%を占めています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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