結婚・出産は「コスパが悪い」?
中国では「結婚や出産(育児)はコストパフォーマンスが悪い」という声を時々聞く。人生の大事を「コスパ」の一言で片付けるのはいかがと思うが、それだけ負担が大きいことも事実だ。前述の育児コストを大学本科卒業まで拡大すると68万312元(約1,428万円)に膨らむ。
中国の2023年の出生数は前年比5.6%減の902万人だった。直近ピークの1,883万人(16年)からわずか7年で半減したことになる。
一方、23年の婚姻数は768万組で、14年から続いていた前年割れはいったんストップ。もっとも、新型コロナ禍の反動もあると見られ、今後は不透明だ。
中国で婚姻数が減っている「3つ」の要因
前述の「報告」は、婚姻数が減少傾向にある理由として以下の3点を挙げる。
①若年人口の減少、②結婚コスト増、仕事上の大きなプレッシャー、女性の教育水準や経済的独立レベルの大幅上昇など、③男女人口比の不均衡(結婚適齢期の20~40歳では男性が女性より1,752万人多い)――。
社会的および文化的観念などから婚外子が避けられる、つまり「結婚してから子どもを産む」のが一般的な中国では、婚姻数の増減が新生児の数と密接に関係してくる。
知人夫妻に「結婚して子どもも生まれたばかりだから、これからの生活もますます頑張らなきゃね!」と声を掛けたが、返してくる笑顔にやや力がない。
奥さんは4人姉妹なので、自身も賑やかな家庭がいいと思いきや、「子どもは1人で十分ですね……」と言う。これが現実的な声なのだろうか。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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