給与の15~25%は、税金や社会保険料としてシレっと天引き
「源泉徴収票」って、ありますよね。サラリーマン(会社員)の皆さんが毎年もらっているにもかかわらず、中身の数字の意味がよくわからず、でも大切そうなので捨てるに捨てられず…の紙です。
そこには、「税金と社会保険」の重要な情報がたくさん詰まっているのです(税金について詳しくは、本書3限目の所得税で解説します)。
給与明細をもらったとき、手取り額が一番気になりますが、シレっと差し引かれている税金と社会保険。この金額もバカにならないほど大きいです。税金については、前回記事で“ざっくり”説明しましたので、ここでは社会保険に着目していきましょう。
そもそも「社会保険」って、何?
ひと口に「社会保険(公的保険)」といっても、その中には健康保険であったり、介護保険・雇用保険・労災保険であったり、さらには年金保険であったりと、いろいろな種類が含まれています。
この「健康保険」、正確には、健康保険と国民健康保険の2つに大別されます。基本的には、サラリーマンなどが「健康保険」に加入し、あとはこれに加入する資格を持たないフリーランスや自営業者が「国民健康保険」に加入することになります。
健康保険と年金はほぼ“ワンセット”
年金のほうは、この健康保険とほぼワンセットになっています。健康保険に加入しているサラリーマンは「厚生年金」に入り、国民健康保険に加入しているフリーランス等は「国民年金」に入ることになります。ちなみに、フリーランスなりたての方は、例外的に「任意継続」を使うことで、サラリーマン時代と同様の健康保険に継続加入できる制度もあります。
わが国の公的年金制度は、国民年金を基礎年金とした「2階建て構造」の公的年金制度となっています。1階は20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」、2階はサラリーマン等が加入する「厚生年金保険」となっています。
さらに、国民年金の場合には、2階部分で「国民年金基金」を追加する選択肢もあります。iDeCo(イデコ)も同様に、任意加入の上乗せ年金制度です。つまり、国民年金に追い金を払い、保障を厚くする制度です。
税金面でいえば、会社員は「国の年金保険」のほうが絶対にお得
年金の未払いが問題になっていますよね。「あれに入るくらいだったら、自分で手当てする…」とかいって、民間の年金保険に加入したりする人もいます。
国が保障してくれる年金保険が良いのか、それとも民間の年金保険が良いのか、いろいろ意見が分かれるところだと思います。しかし、サラリーマンの「税金面(所得税)でいえば、保険料が『社会保険料控除』として全額控除される国の年金保険のほうが絶対にお得」です。
保険加入による節税効果も「微々たるもの」
民間の年金保険による節税効果って、どうなのでしょうか。「生命保険料控除」は最大12万円しか控除することができず(所得税法第76条)、生命保険に入る節税効果なんて、ほんの数万円、税金が変わるかどうかのレベルです。
したがって、節税効果は低く、税金面で数万円得するために、「ぼったくり保険」(私見です)に入る必要はないということです。
稲垣 啓
中小企業診断士、税理士
1977年富山県生まれ。立命館大学経営学部を中退(飛び級)し、同大学院法学研究科修了(民事法)。2011年9月に中小企業診断士、2020年3月に税理士登録。著書に『原価計算なるほど用語図鑑』(単著、中央経済社)、『行政書士・社労士・中小企業診断士 副業開業カタログ』(共著、中央経済社)などがある。
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